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生物
2022年度入試の問題分析
各日程とも試験時間は60分で、解答様式は全問マークシート方式である。大問数は4題であり、小問数は40で、日程による難易度の差はほとんどない。
解答形式は、文章中の空欄にあてはまる用語を選択するものや、4~6つの文章選択肢から正しいものや誤ったものをひとつ選択するものが中心である。ただし、4~8つの選択肢から正しいものや誤ったものを複数組み合わせて選ばせるという出題も定着してきている。また、ここ数年は実験や観察に関する資料を分析させる問題も見られるようになった。2018年度の血球計算盤による酵母菌の増殖を調べるもの、2019年度の集団サイズ別における遺伝的浮動の影響や水ストレスが光合成に及ぼす影響に関するもの、2020年度の動物の内分泌系に関するもの、2021年度の森林内における観察・進化における考察などがその例であり、こうした問題で点差がつくものと考えられる。また、生物の進化と系統分類からの出題も定着し、2016年度の系統樹の作成手順をはじめ、五界説、集団遺伝、進化説など毎年、幅広く出題されるので、教科書レベルの知識と集団遺伝の演習は欠かせない。また、植物の反応や環境・生態系などは頻出分野である。またゲノム編集などの最新の生物学に関する知識も問われている。普段から新聞やネットなどで新しい生物学の話題にアンテナを広げておくとよいだろう。
難易度的には、どの日程の問題も標準的で、難問といえるような出題はほとんどない。しかし、正しいものや誤ったものを2つ組み合わせている選択肢を選ばせる設問では、かなり正確な知識が要求される。また、実験や観察をベースにした問題では、リード文を素早く読解する能力も必要である。
2023年度入試対策・学習アドバイス
正確な知識がベースとなる
実験・観察などの試料分析問題では、その場で考察するというのが前提であり、特別な知識は必要ない。しかし、出題の多くは知識をベースにした問題であるから、教科書レベルの基本的な知識を正確にマスターしていることが要求される。教科書レベルを超えたような知識は要求されないので、教科書を丹念に読み込んでおくことが重要である。動物の配偶子形成過程で生じる細胞の名称や受精過程の詳細、クエン酸回路やカルビン・ベンソン回路を構成する物質の炭素数、現存する生物種の数など、教科書記載のことはすべて出題される可能があると考えておいた方がよい。
教科書準拠の問題集を繰り返そう
教科書の熟読と並行して手持ちの教科書準拠の問題集を繰り返し演習することが大切である。とりわけ知識問題では知識の定着度がものをいう。知識問題への対策では、例題・基本問題・学習問題の反復が有効である。学習の際には、まず例題だけを通して演習して全体像を把握してしまいたい。そののち基本問題を通して演習すればムラなく仕上がるだろう。
実験や観察の分析問題への対策
分析問題というと、それだけで臆してしまう受験生も多いが、決して恐れる必要はない。教科書準拠の問題集には各章の最後に実践問題が配置されていることが多い。そのなかから表やグラフのある問題を選んで、試料分析問題への対策とするとよいだろう。試料分析問題では、同じ内容が出題されることは少ないので、こうした問題は時間配分の練習と捉えておけばよい。