入試対策情報
※前年度情報を掲載中
現代文
2022年度入試の問題分析
一般入試のA日程(2教科型・3教科型)の現代文は、従来の「大問1題」型から「大問3題」型への変化が起こった点が注目される。いずれの実施日でも、一は評論文、二は短めの文章と資料の複合(=複数テクスト)、三が漢字の問題だった。一の出題内容は、内容読解問題、熟語などの言葉の知識を問う問題、適語(接続語、抽象語、修飾語)補充問題のほかに、文学史、文法・語彙問題を含む点が特徴的。二は、図表やグラフの意味を問う問題が中心。解答方式はすべてマーク式。出題された評論文は、不都合な現実の隠蔽が倫理の歪みを生むと説く佐藤岳詩『「倫理の問題」とは何か』(2/4実施)、西洋近代の限界を超えるヒントを日本人の深層意識に求める佐伯啓思「『西洋近代』に未来は築けない」(2/5実施)、フロイトによる無意識の発見が文学研究にもつ意味を述べる千葉一幹『コンテクストの読み方』(2/6実施)のように、現代の日本社会が抱えた問題点を指摘する、標準的な難易度の文章だった。文学史問題は、本文の内容にちなむ江戸以降の「作家名̶作品名」の関連を問うもので、「ノーベル文学賞受賞作家」(=大江健三郎)の作品(『万延元年のフットボール』)、『古事記伝』の筆者(本居宣長)などを問う問題が、一問ずつ出題された。文法・語彙問題では、「至る」と同じ品詞の語、「仰臥」の読み方(「ぎょうが」)と意味などが問われた。
2023年度入試対策・学習アドバイス
読解問題への対策本文全体の趣旨と論理展開を丁寧に、かつ正確に読解する力の習得が不可欠である。読解に際しては、本文全体のキーワード、キーセンテンスを押さえることが最重要課題だが、そのためには、本文末尾に記されたタイトルもヒントにしつつ、本文全体を支える対比関係や因果関係の表現に注目する力をつけておきたい。最後の内容合致問題で問われる、筆者が一番言いたいこと(主張)を正確に把握する力をつけるには、最終段落をしっかりと押さえることに加えて、そこに至る論理の流れをあとづけていく訓練が必須である。接続語の空欄補充問題では、いくつかの可能性が考えられる場合には深追いをせず、ひとつに決めやすい番号から順番に答えを入れてみるとよい。基本的な評論用語、基本語句、接続語の知識や理解についても、普段から学習を積み重ねていきたい。また、2022年度で初めて出題された複数テクスト問題に関しては、今後の出題にそなえて準備をしておく必要がある。練習問題を通して、資料やグラフの基礎的読解力を養成しておきたい。
知識問題への対策文学史、慣用句や四字熟語、文法など、出題のポイントが明確なので、目的意識を持って学習に臨みたい。文法に関しては、国語便覧あるいは参考書の記述の要点をノートにまとめたうえで、問題集で仕上げること。品詞の学習は、古文の勉強とも重なりあう。自立語/付属語、さらに活用語/非活用語に分けた品詞分類表を自分で書けるようにすること。ただし、文法用語に若干の異同がある点にも注意しよう。文学史の問題は比較的容易だが、近現代のみでなく、近世(江戸時代)からも出題されている点は要注意。重要な作家(筆者)と、そのテーマや主要な作品(著作)をノートにまとめ、着実な得点源にしたい。