<入試科目の掲載について>
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私立

とうきょうこうか

東京工科大学

東京工科大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2022年1月時点のものです

医療保健学部 リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻
原田ゼミ(聴覚障害学)

原田ゼミの1枚!

耳の模型が置かれていますね。先生、これは何について学んでいるところですか。

耳の構造や音がどのように伝わっていくか、聴器の機能を確認しています。

言語聴覚学では「聞こえ」の障がいが中心になるのでしょうか。

実は、「聞こえ」だけでなく、人の尊厳や生きる喜びを支えるため、いろいろな領域の支援を行います。詳しく言うと……。

聞こえの障がいを持った子どもへの
指導方法を考える

学びの対象

言語聴覚士は“コミュニケーション”と“食べる”を支援する

言語聴覚士とは、文字どおり、「ことば」や「声」、「聞こえ」の問題によって他者とのコミュニケーションが困難な方への専門的な支援を行う医療専門職だ。また、「食べる・飲み込む」が困難な方への支援も役割のひとつで、言語聴覚士が関わる領域は大きく次の5つに分けられる。

①脳卒中や事故による失語症や知覚・認知・記憶などに関わる機能が障がいされた高次脳機能障がいといった「ことばの障がい、認知・行動の障がい」。②年齢相応のことばの発達がない「子どもの言語発達の障がい」。③がんなどで声帯や舌を切除した患者さんや声のかすれなどの声の衛生といった「声・発音の障がい」。④子どもの先天性難聴や、加齢による難聴の「聞こえの障がい」。⑤病気や加齢によって食べる・咀しゃくする、飲み込むことが難しくなり、ひどい場合は誤嚥性肺炎を起こしてしまう「食べる・飲み込むことの障がい」。

こうしたコミュニケーションや食べることに困難を伴う方を対象に、人間の尊厳や生きる喜びを取り戻す支援を行うのが言語聴覚士であり、原田浩美先生は大学病院等ですべての領域の支援を行ってきた。その経験をもとに、現在は「聴覚障がい児の言語指導法」を主たるテーマとして研究されている。

「脳に問題がない場合、人工内耳の手術によって普通の話し声が聞こえる程度まで聴覚能力を取り戻すことができます。そうすると、耳からことばが入り、おしゃべりする生活言語は獲得できますが、そこで訓練をやめてしまうと、様々な構文を使い、抽象的な思考ができる学習言語が身につきません。最終的に目指すべきは学習言語を獲得し、自分で自分の人生を決められるようにすること。そのためには話す量を増やすだけでなく、話す質を上げる指導も必要です」と、原田先生は話す。

研究テーマ

対象者に最適な指導を行うためのシステム開発を行う

メディア学部の研究室と協働して、検索しやすくわかりやすい遠隔支援プログラムの開発を進めている

指導方法は子どもの環境により異なる。例えば、きょうだいが多い家庭と一人っ子のひとり親家庭ではまったく話しかけの場面や量が違い、指導の仕方も変わってくる。しかし、言語聴覚士の経験が浅いと、指導方法に悩むことになる。そこで、原田先生はこれまでの詳細な指導データをシステム化し、若い言語聴覚士に提供していこうと、同大学のメディア学部の研究室とともにICTを活用した遠隔支援プログラムの開発に取り組んでいる。

「確かなエビデンスがある指導方法をデータベース化するうえで、学生たちにも参加してもらいたいと考えています。若いからこそ気づけることもありますし、勉強中だから、教員には当たり前でも、学生たちにとっては疑問に思うことがたくさんあるはずです。それをシステムに取り込み、経験の多寡にかかわらず、同等レベルの指導ができるようにしたいと思います」と原田先生。

ゼミでは、指導のデータや子どもの親御さんから提供された日々の記録を見て、自分なら具体的にどういう指導をするか、なぜその指導をするかを考えるところから始める。さらに、同じくらいの言葉を持っていても、家庭環境によって指導内容が異なることから、環境要素の一部を変え、より適切な方法を探り、親御さんに提案を行ってもらい、結果を振り返るということを繰り返していく。そのなかで有効性が確認された指導方法についてはデータベースに入れていく予定だ。

「患者さんは千差万別だからこそ、それぞれに合った指導を行うために考える力が必要です。私は、医療現場で働いていたとき、自分の指導を振り返り、「もしかしたらもっと良い指導方法があったのではないか」とよく悩みました。言語聴覚士をめざす人には、今自分が行っていることが本当に正しいのか問う姿勢を常に持ち続けてほしいですし、支援プログラムを開発することで、悩む言語聴覚士や親御さんが壁から逃げずに向き合っていく助けになりたいと思います」。

指導教員 原田 浩美 教授

金沢大学大学院博士課程修了。金沢大学医学部附属病院耳鼻咽喉科音声言語外来等で、言語聴覚士として勤務、国際医療福祉大学成田保健医療学部教授等を経て、東京工科大学着任。博士(保健学)。専門分野は聴覚障害学、聴覚障害児の言語指導法。

このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 東京工科大学 広報課
Tel 0120-444-903
E-mail pr@stf.teu.ac.jp

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