公立

東京都立大学

ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2024年2月時点のものです

都市環境学部 観光科学科
地理学研究室

地理を通して地域のおもしろさを伝える

ゼミのテーマ

地理世界の出来事がテーマ

日本で観光を学べる大学は数多くあるが、東京都立大学の観光科学科は、理学・工学系の学部に含まれていることがユニークだ。そのなかで仁平尊明教授の研究室は、地理を専門にしている。
「都立大の地理の本家は地理学科です。うちは小さな分家のようなものです。でも小さいからこそ、自由に、そして小回りのきく運営をしたいと思っています」

「仁平さん」と学生に呼ばれている仁平先生の人柄もあってか、学生の論文のテーマには自由な研究室の特色が表れている。以下がそのリスト。
<これまでの卒業論文>
・糸魚川におけるヒスイの保全と観光利用に関する研究
・グラフィティと都市空間の関連に関する研究 -池袋駅周辺を対象として-
・商品の生産過程で表出するローカリティ -岐阜県郡上市平野醸造の日本酒を事例として-
・ストリートダンスジャンルKRUMPにおける文化伝播の実態と要因
・現状調査を踏まえた寺院と利用者の視点からみる寺カフェへの認識に関する考察
<これまでの修士論文>
・イギリスの歴史的観光地バースの文化層序に関する地理学的研究
・伊豆半島ジオパークにおけるジオガイドツアーの実態と問題

「これらの論文は、すべて現実の地理世界で起こったことを扱っています。その様子を観察したり、人に尋ねたり、地図に書いたりして、それぞれの学生が、それぞれの問題意識で取り組みました」と仁平先生。地理世界で起こる、あらゆることが研究テーマになることがこの研究室の特色だろう。

はじめての卒業生と記念撮影

ゼミの特徴

コミュニティのような研究室に

地理情報システムで書いた地図

観光系の研究室ということで、所属する学生は外に出ることが好きな人が多いことも特徴のひとつだ。それは地理を専門とする仁平先生も同じ。これまで日本の各地や、南米、北米など、いろいろな場所を訪れて得た実体験を講義でも話されるそうだ。その一方、研究室には、仮想の地理世界、バーチャル・ツアーの研究をしている博士過程の学生もいる。
「この学科での私の目標は、地域のおもしろさを人に伝えることだと思います。そのためには、文章、地図、グラフ、スケッチなど、いろいろな方法を使い、工夫をする必要があると思います。
地理は昔ながらの分野です。だから、ある地域のおもしろさは、すでに筆の立つ先輩方によって伝えられたかもしれません。しかし地域は変わりますし、それを伝える方法も変わります」

そんな仁平先生自身は地図にこだわっている。
「私個人では、地図にこだわっています。例えば図2は、地理情報システムで書いた地図です。これは誰でも利用できるオープン・データ使って書きました。
でも、ほんのわずかな差なのですが、使いやすくなるように、オリジナルのデータを調整しています。
いろいろな道具を使って、古い部屋を少しずつ改造していく……。そんな楽しみに近いかもしれません」

めざしているのは、小さなコミュニティのような研究室だ。
「今の学生は、問題意識を持つのが上手だと思います。 私は、一つひとつの問題意識が具体的なかたちになるのを、ただただお手伝いするだけです。小さなコミュニティのような研究室をつくりたいと思っています。
私の個人的な興味として、この東京のはじっこで、日本人と外国人の混合チームをつくりたいとも思っています。そうすることで、まだ見たことのないものを見られるような気がします。 それが何であるのかは、見るまでは分かりませんが」

最後に読者へのメッセージを聞いてみた。
「私は自然学類という学部の出身です。自然科学の基本は、自然をよく観察することだと思います。
皆さんも、身近なところをよく観察することから、何かを始めてみてはいかがでしょう」

 

身近な地域の例。研究室の近くから撮影した多摩の丘陵地。丘の上にはニュータウンがあり、谷には古い集落や学生のアパートがある。
「この風景を見ると、私の先生が言った「文化層序」という概念を思い出す。『人がつくる文化は、ときに静かに、ときに激しく、地表に積み重なっていく』」

指導教員 仁平 尊明 教授

筑波大学大学院修了。これまで筑波大学自然学類と北海道大学文学部で地理を教えた。2021年より現職。

Professor Message

うちの研究室の主体は学生です。今の学生は、問題意識を持つのがとても上手だと思います。私は、一つひとつの問題意識が具体的なかたちになるのを、ただただお手伝いするだけです。

The main characters of this laboratory are students. I think today's students are very good at finding problems. All I can do is help them realize their awareness in a concrete form.

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このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 東京都立大学 アドミッション・センター(入試課)
Tel 042-677-1111
E-mail admission-tmu@jmj.tmu.ac.jp