現代文
2023年度入試の問題分析
大問3題から構成される。一が評論、二が文学的文章、三が知識問題という出題形式は2023年度も変わらなかった。一は文化の時間・空間的移植を論じた評論(外山滋比古『異本論』)、二は高村光太郎『智恵子の半生』から出題された。いずれも読みづらい文章ではないが、二は時代背景が多くの受験生にはなじみの薄いものであり、読み進めるのに手間取ったかもしれない。また、例年一・二については問題文の分量が際立っている。2023年度は一が約8,200字、二が約7,200字の文章で、2022年度よりさらに長文化した。解答はすべてマークシート方式。設問は空欄補充、傍線部内容説明、本文全体の内容一致などオーソドックスなものである。知識問題は例年、A漢字の書き取り、B文の意味に合う表現を答える問題、C文学史という構成だが、それぞれの設問数は年度によって異なる。2023年度はAが5問、Bが3問、Cが2問だった。全体の難易度は標準程度である。
2024年度入試対策・学習アドバイス
長文読解問題の対策
受験生にとって負担となるのは何より問題文の長さであろう。何度も読み直す時間の余裕はないので、内容を整理しながら読み進めることが必要になる。傍線の前後だけを読んで解答することは避けたほうがよい。とりわけ一は本文全体の内容一致問題が出題されるので、全体を通読し、論旨や展開を把握してからでないと答えづらいだろう。したがって、長文を最後まで読み通し、確実に理解する練習が必要になる。最初は、文章の構成を意識しながら読む練習をしてみよう。段落や内容的な区切りごとに書かれていた内容を確認し、最後まで文脈を見失わないように読み進める。時間がかかっても構わないので、必要に応じてメモを取り、文と文、段落と段落の関係に注意してみよう。こうした読解方法を身につけるため、長い文章を用いた演習を重ねる必要がある。本文の解説が充実した問題集を選び、地道に取り組もう。また、センター試験、共通テストの過去問も有用である。ただ問題を解いて正答することだけをめざすのでなく、文章を正確に理解することを意識しよう。
テーマについての学習
一の評論は、毎年異なったテーマの文章が出題される。何が出ても対応できるようにするためには、読解力だけでなく、様々な知識を身につけることも重要だ。模試や問題演習で自分がよく知らない分野の文章があれば、理解できるまで何度も繰り返し読もう。また、問題文と同じ筆者の別の文章を読むこと、当該分野について用語集や国語便覧などで調べることも知識を身につけるうえで役立つ。苦手な分野でも敬遠せず、積極的に触れてみよう。
知識はバランスよく学習する
漢字の書き取りは毎年出題されるので必ず対策すること。大学入試向けの漢字問題集を1冊選び、できるだけ早い時期から始めよう。演習時は必ず自分で紙に書いて覚える。また、用語集を用いて語彙のチェックをすることも忘れずに。とりわけ四字熟語は入念に確認しておこう。漢字・語彙とも毎日少しずつ進めるとよい。文学史は近現代の作家について、大体の時代、代表作品、属していたグループなどを整理しておこう。穴埋め式の問題集を何度も繰り返し、知識の漏れがないようにすること。