明治薬科大学大学からのお知らせ 入試対策情報
化学
2024年度入試の問題分析
B前期日程は大問5題で、すべて記述式である。問題内容と難易度は、(1)原子の構造と原子量、放射性同位体の半減期に関する問題。6.25%が16分の1であることにすぐ気付くかどうかで差がついたと思われる。(2)平衡定数の計算問題。圧平衡定数Kpと濃度平衡定数Kcの変換も必要な問題で、難しくはないが差がついたと思われる。(3)リンの単体と化合物に関する知識問題。基本事項のみであるが、リンが手薄な受験生は遅れを取ったと思われる。(4)金属イオンの反応および錯イオンの構造と、反応に関する知識および思考問題。論述の設問も2つあり、差がついたと思われる。(5)芳香族エステルの構造決定問題。この大学としては標準的な難易度である。全体としては、例年とは異なり滴定などの理論問題がひとつ減り、代わりに無機分野から大問が2題出題された。思考力を要する設問もあったが、大問5の構造決定が例年よりも易しかったので、平均点は変わらず、しかしかなり得点差がついたと思われる。
2025年度入試対策・学習アドバイス
理論分野への対策
一時期は基本的な問題ばかりであったが、近年は思考力を要する問題も出題されるようになった。B前期日程は、ほかの日程と比べると基本的な問題の割合が高いので、まずはそこで取りこぼさないことが大事である。そのうえで、ほかの日程に出願しないとしても過去問に取り組んでおけば、同じ傾向で思考力を要する問題の割合が高いので、この日程の対策にもなる。どの日程も、①中和および酸化還元滴定が頻出なので、出題パターンを網羅的にマスターしておきたい。②原子の構造から分子間力までの知識問題で大問になることが多いので、取りこぼさないようにしておこう。また、論述の設問も多いので、しっかり準備しておきたい。
無機分野への対策
いずれの日程も、必ず1題は出題があるし、理論に融合して知識を問われることが多いので、手薄にならないように。設問内容は基本的なものだから、得意にしておけば短時間で処理できて、理論と有機をゆっくり考えられる。2024年度は大問5題中2題が無機分野だったので、得意な受験生は差をつけられたと思われる。無機分野に強くなるには、教科書に出てくる化学反応式を、手を動かして覚えることである。反応式を覚えようとすると、その周辺の知識も覚えやすく想起しやすくなる。
有機分野への対策
脂肪族芳香族の構造決定が出ることが多い。難問ではないが、ジエステルや酸アミドを中心に、少し変わった物質で思考力を問うことが多く、明治薬科大学独特である。日程を問わず、以前まで遡って、過去問にできるだけ多くあたって慣れておきたい。また、構造決定に強くなるには、異性体を書き出す練習が土台として大切である。手を動かして練習しよう。明治薬科大学で多いエステルやアミドの構造決定は、加水分解の反応式を書いて、両辺の炭素数や分子量の合計が保存されることに着目するとよい。検出反応などの知識は、問題に多くあたることで身についていく。
脂肪族芳香族の化学反応式はかなり差がつくが、無機分野同様に、手を動かして覚えることが重要である。天然有機物は、C日程とB後期は頻出だがB前期は出題されない年が多い。しかし、基本知識は押さえておこう。