豊田工業大学大学からのお知らせ 入試対策情報
化学
2024年度入試の問題分析
2024年度より一般入試が実施された。出題形式は記述式であり、大問4題が出題、試験時間は90分で配点は150点になる。第1問は小問集合形式。二酸化炭素の状態図、滴定実験における実験器具の扱い方、デュマ法による分子量測定、セルロースのアセチル化などが出題された。類題を演習したことがあれば解答できたであろう。第2問〔A〕は鉄の製法および結晶格子に関する問題。鉄の製法は2種類の鉄の酸化物を考慮する問題であった。〔B〕はリチウムイオン電池。放電による電子の移動量と電力、電力量の関係を考える問題であった。第3問〔A〕は熱化学。炭化水素の生成熱、燃焼熱に関する計算問題であった。〔B〕は電離平衡。酢酸の電離定数を用いた計算問題であった。第4問は有機化学。アルケン、アルキンに水が付加する場合のマルコフニコフ則、ヨードホルム反応に関する問題が出題された。第2問から第4問は理論化学、無機化学、有機化学の各分野から出題されていて、思考力を問う問題が多い。計算問題は前の設問の解答を次の設問でも利用する形式の問題が多く、計算ミスには注意が必要である。
2025年度入試対策・学習アドバイス
理論分野の対策
理論分野は出題全体に占める割合も高く、基本的な内容から応用的な内容まで、広い分野から出題されている。出題される問題は頻出分野からの出題が多いが、各設問に工夫がされていて、表面的な知識だけでは対応できず、思考力を必要とする問題も多い。また計算問題も各分野から多数出題されている。計算自体はそれほど複雑ではないが、問題の設定を正確に理解していないと計算式が立てられず、解けない問題も多い。したがって理論分野は合否のポイントとなる最重要分野であり、しっかりと学習しておく必要がある。まずは教科書に出てくる重要な用語・定義・法則などを覚えること。さらにそれらの意味を正確に理解したうえで、問題演習を十分にしておくこと。応用的な問題集で、やや発展的な問題演習をしておくとよい。
無機化学の分野の対策
無機化学の分野は、気体の製法と性質、金属イオンの分離方法、無機工業化学などが重要分野である。教科書に出てくる物質の名称や化学式、性質や反応などをしっかりと覚えておくこと。さらに、覚えた知識が確実に身についているかを確認するために、問題演習もやっておくこと。また、無機化学の分野は理論分野との融合問題も出題されるので、理論分野と関連づけた学習が必要である。計算問題も含めて演習をしておくこと。
有機化学の分野の対策
炭化水素、アルコールとその酸化生成物、エステル、芳香族化合物とその誘導体、油脂・セッケンなど、代表的な化合物の性質や反応を系統的にまとめ、反応名や構造式、化学反応式を確実に書けるようにしておくこと。そのうえで、アルコールやエステル、アミドの構造決定の問題演習をすると、覚えた知識の整理にもつながるので有効である。また高分子化合物からの出題も多く、糖類、タンパク質、合成高分子、ゴムなど、教科書に記載のある物質は、しっかり確認しておくこと。さらに、計算問題も出題されるので、アミノ酸の等電点、ビニルアルコールのアセタール化の計算など、よく出題される分野の問題演習をしておくこと。