慶應義塾大学大学からのお知らせ 入試対策情報
英語
文学部
2014年度以降、大問1題という出題形式が続いており、5年続けて2,000語超の英文が出題されている。8問中5問が「英文和訳・内容説明・自由英作文」という記述式の設問で、それ以外は4択の客観問題である。英文量が多いだけでなく語彙レベルも高いので、1文1文の断片的な意味だけでなく、大局観を備えた論理的な思考力と論旨展開を正確に読み取る力が要求される。英文和訳は、構文上のポイントは明確だが文脈に沿った訳語の選択に苦労する。差がつきやすい内容説明は「100~120字」と「60~75字」の2問が出題されている。自由英作文は、「内容の明確さ」が評価対象となっているため、時間をかけて十分に対策する必要がある。
過去問を活用した出題傾向分析を
文学部の出題には他学部にはない独特の傾向・方針が見られ、設問形式に関しても独自のスタイルが定着している。したがって、効率的に対策するには過去問を数多くこなし、設問の狙いやレベルを実感したうえで、設問ごとの時間配分に細心の注意を払おう。
英文全体を通した大局観を大切に
英語辞書を2冊まで使用することが認められている(電子辞書は不可)が、知らない単語を片っ端から引いていると時間が足りなくなる。全体の流れを把握したうえで、どの単語を辞書で引くべきかを判断するには、大意を踏まえながら長文を読み通す大局観が求められる。日頃からそのような読み方に慣れておこう。
記述対策は万全に
英文和訳や自由英作文は、設問のレベル自体は標準的だが、文脈を正確につかんだうえで、自分の言葉で表現する必要があるので決して楽ではない。また、字数制限がある内容説明問題では、解答に盛り込むべき情報を吟味して、どこまで具体的に、かつ過不足なくまとめるかという表現力が求められる。英文の該当箇所に比べて、日本文の制限字数が少ない場合もあるので、ポイントとなる表現を中心に、要点のみを簡潔かつ明瞭にまとめる工夫が必要だ。
医学部
近年は読解総合2題と自由英作文1題という大問3題の構成が続いていたが、2026年度は自由英作文が読解総合のなかに組み込まれる形に変更された。解答形式は大部分が記述式で、簡潔かつ的確な表現力が求められる。特に自由英作文は、与えられたテーマに対する自分の考えを80語程度で論じるもので、十分な対策が必要だ。2022年度以降のテーマは順に、「望まれる慶応大学医学部の学生像」「日本の若者が留学しない理由」「カンニングした宿題」「来日する外国人観光客が増加する理由」「忙しい時の対処法」となっている。また、長文中の一部を日本語にしてそれを英訳させる形式の英作文も出題される。
過去問研究を通して出題傾向を把握せよ
出題形式に多少の変更はあるが、記述式問題を中心にした国公立大学型の設問に加えて、独自の形式のものが含まれる点は不変である。まずは過去問をじっくり研究して、設問の形式や狙い、長文の分量や語彙レベルを把握し、自分にとって最適な時間配分を決めるようにしよう。
豊富な語彙力に基づく緻密な読解力を養成せよ
読解総合問題に対応するには高いレベルの語彙力が必要なことはいうまでもないが、和訳や英訳では英文構造を正しく捉える力が必須なので、大意を把握する速読力に加え、このような精読力も身につけておこう。英文は医学・科学系の論文や社会問題に関するテーマを扱ったものが多く、高度な語彙力を前提とした緻密な読解力を養成する必要がある。ネットなどを利用して英文の新聞や雑誌の記事を数多く読みこなし、論理的な読み方に習熟しておこう。
添削指導を活用した記述対策を
和訳や英訳や内容説明では、前後の文脈を考慮に入れた訳語を決定しなければならない。自由英作文では、自分の考えを80語程度の英文で簡潔に書くことが求められている。このような多彩な言語運用能力を向上させるには独学では難しいので、定期的に添削指導を受けて自分の答案の完成度を徐々に上げていくのがよいだろう。
看護医療学部
2021年以降は、大問7題という構成(試験時間は90分)がずっと続いている。オーソドックスな文法・語法問題や空所補充問題だけでなく、「2文字目・3文字目と品詞と訳語が与えられた英単語の1文字目を答える」というパズル形式の語彙問題(大問Ⅴ)や、「英文中の5つの単語に下線が引かれていて、文脈的に不適切なものを正しい語に代える」という形式の正誤判定問題(大問Ⅵ)のような独自の出題形式もあるので、過去問でじっくり対策しておく必要がある。解答方式はすべて客観式であり、以前出題されていた和訳問題や自由英作文問題は出題されていない。
正確な文法力と語彙運用力が必須
大問Ⅰの文法・語法問題では20問(4択)出題されており、時制や仮定法や態など動詞に関連するものが多い。どれも基本的な文法知識があれば十分に解けるが、数が多いので手際よく処理していく必要がある。大問Ⅲの文補充(一連の英文中に空所が6つあり、4つの文を補充するもの)、および大問Ⅳの文整序(段落内の4つの文の順序を答えるもの)は看護医療学部の定番である。さらに大問Ⅶは長文の英文中の語句整序という形式であるが、前後の文脈把握に加えて文法・語法や語彙に関する知識が求められているので、正確な文法力と語彙運用力を習得しておくことが不可欠である。
過去問で独自の設問形式に習熟せよ
正誤判定問題の大問Ⅵは、一連の英文中の5つの単語のなかに「文脈から考えて」不適切な語が3つ含まれており、正しい場合にはZを記入し、誤っている場合には17の選択肢から代わりとなる正しい語を選ぶというもので、文法的な正誤ではなく内容的な正誤の判定が問われている。語句整序問題の大問Ⅶは、整序した英文中の5ヵ所を答える形式であり、和文が与えられてはいるが、選択肢の数が多いうえに、使わない語や複数回使う語もあって難度は高い。2021年度以降の過去問を徹底的に研究して、このような他学部にはない独特な出題形式に慣れておこう。
法学部
大問5題の構成に変化はないが、全設問数が53問から48問に減少した(すべてマークシート方式)。語彙問題の大問Ⅰは独特な形式であり、2026年度は「5つの単語の中から抜けている共通の2文字を補う」ものと、「示された4つの名詞を目的語にとる共通の動詞を選ぶ」ものが出題された。長文読解2題の合計語数は1,400語弱と短めだが、正解の判定に悩む設問や選択肢もあるので、細部にも留意して綿密に解いていく必要がある。
すべての設問において、指示文も選択肢も英文で記載されているため、かなりの速読力が求められている。独自の形式で問われる大問Ⅰは、英語の指示文自体の意味を正しく理解してから問題に取り組む必要があり、何を答えるべきかを事前に確認することが肝要だ。この学部で定番となった語義問題(大問Ⅱ)や会話文問題(大問Ⅲ)では、過去問演習を重ねて「品詞の違いや慣用句に注目して選択肢を絞り込む」という解き方のコツを会得しておこう。長文読解問題では、段落ごとに内容を問うものなど、頻出の設問形式に注意を払いながら内容を手早く理解するという訓練を積み、自分なりの解答戦略を構築していこう。
経済学部
2023年度以降の読解総合問題は、通常の読解問題3題(大問Ⅰ~Ⅲ)と、その大問Ⅲの英文に関係する日本語の論評を読み、両者に関する英語の内容一致問題に答えるという形式の大問Ⅳから構成されている。解答形式は、大問Ⅴの自由英作文を除いてすべて客観式である。この自由英作文は、長文問題Ⅰ~Ⅳの内容に関連するテーマについて、自分の考えを150~200語程度で論じるものである。
読解総合問題4題は「食料問題」という共通テーマで書かれており、合計で2,400語程度と分量は多いものの、方向性が明確なので読み進める大きな手がかりとなる。選択肢も含めて相当な分量の英文を読むことになるため、手早く要旨を理解するように努めよう。社会問題を扱うテーマが出題されやすいので、この種の英文をネットや雑誌などで読み慣れておくとよい。「問題文Ⅰ~Ⅳを基にして、自分の意見を英語で書く」という形式の自由英作文では、本文の内容を理解したうえで、「自分と異なる見解に言及して、それを批判すること」というこの学部特有の指示があるため、過去問を活用しながら添削指導を受けて対策するのがよいだろう。
商学部
2020年度以降は大問8題構成が続いており、全体的な分量や難易度にも大きな変化はない。解答形式はマークシート方式がほとんどだが、語形変化を伴う記述式の語彙問題が例年出題されている。難易度は標準レベルが中心で英文は比較的読みやすいが、長文問題3題の総ワード数が2,400語近いうえに、長文以外にも中文の内容一致や空所補充のような読解系の設問が多いので、解答スピードや時間配分に注意する必要がある。
長文は3題とも空所補充や内容一致型の設問が中心であり、標準レベルの読解力があれば十分に対応できる。とはいえ、単語の拾い読みのような雑な読解法では対応できないので、本文と選択肢を丹念に照合しながら読み進めていくという緻密な読解訓練が不可欠だ。長文読解問題がメインではあるが、文法・語法問題も多く出題されるので、過去問や文法問題集などで類題演習を重ねて、動詞の語法のような基本事項に関する知識を確実に習得しておくこと。また、商学部の定番となった記述式の語彙問題では、動詞の活用形や派生語(特に名詞形)を書く必要があるため、スペリングにも注意して単語対策を進めていこう。
理工学部
2025年度と同様に、大問5題(読解総合2、会話文1、語彙1、英訳1)の構成で、解答形式は英訳問題を除いてマークシート方式である。読解総合問題の英文量はそれほど多くはないが、大問2では思考力を様々な角度から問う難度の高い新傾向の設問形式になっている。大問4は理系分野で使用される語彙を6択で問う(例:cooling agent「冷却材」)独特のものであり、理系分野の一般知識も必要となる。
読解総合問題は、空所補充・同意表現選択・内容一致など多岐にわたる設問から構成されており、特に大問2では本文の著者へのインタビュー英文が提示され、その空所を補充するという新形式の設問が追加された。抽象性が高いテーマが多く、紛らわしい選択肢もあるので、本文と選択肢を精密に照合する読解姿勢が求められる。大問3の会話文(男性が女性にプロポーズする場面)では、口語表現や慣用表現も設問対象となっており、幅広い知識と文脈推測力が必須である。大問5の英訳問題は、下線部の日本語を空所補充形式で6カ所を英訳するという新形式になった。日本語のどの部分を訳すべきかを確認しつつ、品詞・活用形にも留意しよう。
総合政策学部・環境情報学部
両学部とも、2016年度以降は長文3題という大問構成が定着している。全体で「3択の空所補充問題が40問」と「4択の内容一致問題が20問」という設問の形式や数は同じであり、本文の総語数も2,500語前後と大きな変化はない。計60問すべてが客観式の設問だが、選択肢を含めると読む英文量が非常に多く、難度もかなり高いので、試験時間が120分あるとはいえ、効率よく解かないと時間が不足してしまう。念入りに過去問対策を行って、設問の狙いや語彙レベルに習熟することが不可欠だ。
高度な語彙力と充実した背景知識を備えよう
2026年度の長文のテーマは、総合政策学部が「宇宙ゴミと循環型宇宙経済」「サブカルチャーの変容と若者のアイデンティティ」「成功する起業家の資質」で、環境情報学部が「培養肉の可能性と課題」「気候変動の危機の伝え方」「エコロジーとテクノロジーの再定義」だった。例年、最新の科学界の話題や社会問題に関する抽象度の高い論説文や記事が出題されており、高度な語彙力を前提とした緻密な読解力を養成することが求められる。設問形式は定着しているので、過去問を中心に同程度の難度の英文を数多く読んで語彙力の増強に努めよう。豊富な背景知識も大きな武器となるため、日頃から科学上の発見や時事問題に関心を持ち、インターネットや雑誌の記事に親しんでおくことが望ましい。
迅速かつ的確な判断を行おう
両学部とも3題合わせて2,500語前後の英文を読むことに加えて、内容一致問題の選択肢もすべて英語で書かれているため、同じ部分を繰り返し読み返す時間的な余裕はない。本文を読み進めながら空所を埋めていき、段落ごとに該当する内容一致問題を解いていくのが効率的な解き方である。本文内容と選択肢を丹念に照合しながら読み比べることができるように時間配分を工夫しよう。空所補充問題には定型表現のような平易なものも含まれているので、素早く判断して時間をかけすぎることのないようにしたい。
薬学部
2025年度は大問4題だったが、2026年度は大問横断型の大問Ⅳ(大問Ⅰ~Ⅲの英文に関する内容一致問題)が姿を消して、大問3題という構成になった。大半がマークシート方式だが、記述式の設問も6問(大問Ⅰと大問Ⅱに3問ずつ)出題されている。長文3題の総語数は年度によって差があるものの、直近3年は3,200語を超えており、読むべき英文量が非常に多い。英文の難度が高いうえ、選択肢もすべて英文なので、かなりの速読スキルが要求される。設問は、空所補充・同意表現選択・内容説明・内容(不)一致などが中心だが、本文中の語句整序も出題されている。同意表現選択では、文脈を正確に把握できているかどうかが試されているが、選択肢自体に難度が高いものも含まれている。
自然科学系のテーマの英文に慣れよ
過去の出題形式に共通していえるのは、標準以上の読解力と語彙力が要求される設問が多いということである。さらに、読むべき英文量が多く、2026年度も3題中2題が1,000語を超える長文での出題となっている。医療や病理などを含めた自然科学系のテーマの英文が多く出題されているので、日頃からインターネットなどを利用して英文の新聞や雑誌の記事に数多く触れておき、背景知識を増やすとともに自然科学系に頻出の語彙を習得していくことが望ましい。
過去問を徹底的に研究せよ
2015年度から設問の指示がすべて英文になっており、設問の形式や出題の狙いなどにも習熟しておくことが求められる。特に2019年度から出題されている記述式の設問では、英文の指示内容を理解するのに苦労するものもあるので、何を答えるべきかを最初に必ず確認しておこう。文の趣旨を選ぶ問題、推測できる内容やタイトル・要約文を選ぶ問題などが出題されることもあるため、過去問を徹底的に研究して出題意図や傾向に慣れておく必要がある。さらに、語彙力の拡充に加えて、英文の内容を整理しながら読み進めていくという綿密な文脈把握力の向上に努めよう。


