玉川大学大学からのお知らせ 入試対策情報
現代文
2024年度入試の問題分析
学部の出題内容と形式
全学統一入学試験、英語外部試験スコア利用入学試験、給付型奨学金入学試験で共通して課された問題について説明する。2023年度よりは読みやすい文章だが、難度は高い。大学入学後に学術書を読みこなすための基礎的な読解力が試される。扱われた主題は、大問一が「人間の理性による自己と世界および他者との関係の変化」。〈歴史〉〈物語〉〈詩〉がそれぞれ独立したジャンルとなったこと、また絵画における透視図法がその一環として位置づけられている。大問二は「ハンナ・アーレントにおける複数性自由・権力」を主題とした文章。アーレントを巡る文章は2年連続。ただし扱われた主題は異なる。設問は、漢字単語の意味説明、傍線部説明、文章全体の内容理解がメイン。単語の意味説明はかなり難しい。設問には「本文中における意味」を選ぶよう明記されているが、大問二は、実質的に知識の問題。受験生が正解を選ぶのは困難なものも含まれる。また、読解問題の選択肢のなかには、文法的に誤っているとも考えられる表現が含まれている(正解を左右するものではない)。また、正解と考えられる選択肢に、本文では直接的に明示されていない内容が含まれるケースがあり注意が必要。高度な読解力だけでなく、選択肢を吟味する能力も不可欠。選択肢の文面を理解するのにもそれなりの読解力が必要。何よりも正確さが重要になる。
2025年度入試対策・学習アドバイス
様々な文章に触れる
年度によっては狭義の受験対策では対処できないような難問が出題されるケースもあるので、様々な文章に触れ、読解力向上の訓練をする必要がある。『ちくま評論選』(筑摩書房)のようなアンソロジーに目を通すのも有効な手段。楽しく読むことができれば、合格に近づく。わからなくて呆然とする経験も、読解力の向上には不可欠。
主題への意識
設問を正確に解くには、論旨を正確に追い、内容を頭に残す必要がある。そのために不可欠なのが、主題に対する意識だ。主題とは、その文章における「説明の対象」。つまり、読者が理解しなければならないことだ。通常はたったひとつしかない。その主題に対する説明が、残りの文章全体を占める。そして「この部分は何を説明するためのものか」という意識を持つと、各部分の関連が見えやすくなる。そうすれば、理解した内容が頭に残り、理解したことを実際に設問を解くときに生かせる。
読解の基本を身につける
評論を書くうえで、説明のための手段は限られている。「対比」「具体例」「言い換え」などがそれだ。当然、書き手にとっての説明の手段は、読者にとっては理解の手段だ。難しい文章であっても、これらに注目することが、理解のための第一歩になる。受験現代文のセオリーを身につけることは、読解力向上のためのシンプルな手段だ。
漢字と語彙力
漢字の学習は必須。日常ではあまり使用しないが、物事の説明や理解に必要不可欠な、多くの抽象的な言葉もその過程で覚えられる。言葉を覚えるときは、正確に意味や用法を理解し、解くときには文脈を考えよう。難しそうに見える言葉に怯えて内容が理解できなくなるという事態だけは避けたい。余裕があれば現代文重要語を集めた参考書も利用して多くの言葉に触れてほしい。