
※前年度情報を掲載中
世界史
2021年度入試の問題分析
文系1日目・2日目ともに、2019年度からの3年間については、大問4題で問題の内容に大きな変化はない。2021年度の設問数は、1日目が46問、2日目が48問である。試験時間は60分で、時間が不足するとは考えられない。内容は、政治史・社会経済史・文化史など多岐にわたっている。問われる時代も、古代~現代まで、むらなく出題されている。また設問形式は、記述による空欄補充問題を中心として、正誤判定問題、年代整序問題などバラエティーに富む。また、史料や会話を読ませる問題や、地図問題、年表問題、さらには写真や図版を読み解かせるような問題も出題されている。
なお、過去3年間、論述問題は出題されていない。
また時事的に話題になった事項に関連した出題も散見される。2019年度には、「移民の歴史」、2021年度には、逃亡犯条例に対して起こった香港の民主化運動に関する出題があった。
一方、難易度は極めて標準的で、教科書のレベルを越えるような細かい事項は出題されていない。総じて、入念に練られた良問ばかりである。
2022年度入試対策・学習アドバイス
「穴」をつくってはならない!-特に文化史分野に注意を
分析のところでも述べたとおり、教科書レベルの事項を押さえていれば、東京女子大学の問題には対応できる。
しかし、注意が必要なのは、ほぼすべての時代から、またいずれの分野からも、網羅的に出題されていることである。特に注意が必要なのは、文化史の出題が目立つことである。2021年度は、1日目は50設問中8問、2日目は6問が文化史分野からの出題であった。世界史の教科書に占める文化史の割合は、約10%前後であるから、東京女子大学の文化史の出題の割合は大きいといえる。一方多くの受験生は、はたして文化史分野まできちんと学習しているであろうか? 十分に学習しているかどうかは、教科書をひっくり返して、教科書の下面を見ればよくわかる。20ページおきに、手垢があまりついていない白い箇所があるとすれば、多分それは文化史ではないだろうか。私立大学の入試の多くは、3教科入試。そのなかのひとつである世界史で、もし未習の文化史の大問が出たら、これは大きな失点となる。ということで、すべての時代・分野について決して「穴(=未習箇所)」をつくることなく、網羅的な学習が望まれる。
時事問題にも注意
また世界的に焦点となったニュースにも配慮しておきたい。例えば、2020年のアメリカの大統領選挙、温室効果ガスの排出規制などを中心とする「脱炭素化」の動き、さらにはアメリカと中国の対立の激化、そして中国の新疆ウイグル自治区における人権問題、パレスチナにおける対立の激化などは注意を要する。そして世界的なコロナ禍のなか、ペスト・天然痘・スペイン風邪などの感染症の歴史にも注意が必要であろう。
学習方法
未習の部分も含めて、最も確実なのは、学校の授業をきちんと受講し、その後に問題演習を通じて復習するという方法である。この問題演習によって、自分の苦手な(もしくは未習の)箇所を認識することが肝要である。そして、同じ問題を間違わなくなるまで反復演習を繰り返すことが重要である。回数を繰り返すことによって、誤答の割合はどんどん減少していくであろう。