
※前年度情報を掲載中
物理
2022年度入試の問題分析
A方式、M方式ともに解答時間は60分。出題範囲は物理と物理基礎の全範囲。A方式は大問2題の構成である。第1問は5つの設問からなる空所補充型の小問集合であり、力学・電気(ダイオードの特性曲線)・波動(正弦波の式)・熱のテーマから偏りなく出題されているが、磁気および原子分野からの出題はなかった。第2問は力学がテーマの記述式問題である。
M方式は大問6題のマークセンス式である。2022年度は力学2題、電気2題(コンデンサー、直流回路)、波動と熱から1題ずつであった。第1問と第6問が力学であり、第6問がやや難しめになっている。2022年度は磁気および原子分野からの出題はなかった。
A方式、M方式ともに解答時間は十分にあり、難易度は基本~標準の範囲に収まる出題となっている。教科書に書かれている知識を習得していることに加え、適切に法則や公式を適用できれば、それほど多くの作業を必要とせず解けるようになっている。図が描かれていない問題も含まれているため、適切に設定を読み取ることが必要になる。
2023年度入試対策・学習アドバイス
物理法則を正しく理解しよう
運動の法則のような物理法則を理解することを、まず第一の目的としよう。教科書や参考書を読むだけでなく、ペンを動かしながら問題演習を行うこと。具体的な演習を通して、目の前にある問題がどのようなテーマであり、どの法則が適用できるのかを判断できるようにしよう。問題を解く過程で、ときには教科書などを参照しながら法則を理解し、公式を覚えていこう。等加速度運動の公式などは導出できるので、体系的に理解することを心がけよう。問題演習を繰り返す過程で、テーマのつながりも見えてくる。例えば仕事とエネルギーの関係は、運動方程式を元に導かれる。その過程で、運動量保存則と力学的エネルギー保存則が成り立つ条件の違いを考察しよう。単一のテーマだけでなく、全体を通して個々のテーマの位置づけも再確認しよう。
基本問題演習をしっかり行う
物理法則の理解が不十分だったり、公式をまだ覚えていない場合には、まず簡単な基本問題(手近な教科書傍用問題集の基本例題など)を解いてみることから始めてみよう。解けない問題があればまず解答を読んでしまってもよい。ただしその直後に自分で解答を再現してみること。意識してしっかり解答の流れをフォローすることが大切である。物理では力学分野が必ず出題される。しかも力学分野はほかの分野の土台にもなるため、その理解は特に重要である。等加速度運動、力と運動、仕事とエネルギー、力積と運動量、円運動や単振動など、全般的な理解を早い段階である程度固めておくようにしよう。一方で電磁気分野は演習量が不十分になりやすい。2022年度も幅広い分野から出題されているため、こうした分野も基本問題に触れておくことをおこたらないようにしよう。
典型問題や標準問題にも取り組む
基本問題に習熟したら、次に典型問題(標準的な難易度の問題集)に取り組むとよい。適切に設定を読み取るためには、普段から様々な問題で練習することが有効だろう。2022年度は正弦波の式から振動数を読み取る問題のように、柔軟性が必要な問題も出題された。焦らず、制限時間内に解法を見つけて計算を完了できるように練習しよう。