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工学院大学大学からのお知らせ 入試対策情報

物理

2024年度入試の問題分析

試験時間は80分で、大問4題が出題される。日程による多少の難易度のばらつきはあるが、全体的には標準レベルの問題である。たまに独創的で意欲的な出題もある。

大問1は小問集合で、小問数は4~6問程度であり、力学・熱・波動・電気・原子の5つの分野から偏りなく出題される。2024年度はS日程の1月28日の試験で、棒の両端に小球を取りつけた物体系の重心の位置を求めさせる問題が出題された。通常は棒の質量は無視できる設定になっているが、棒に質量がある設定だったためやや複雑になった。

大問2は力学で、典型的な問題の出題が多いが、2024年度のA日程の2月5日の試験では、半球面のなかで円運動をする物体の問題が出題された。横滑り摩擦力の大きさが最大になるときの鉛直方向からの傾きの角が2つあるという設定はわかりにくかったと思うが、最大静止摩擦力の向きが外側向きか、内側向きかという内容だった。

大問3は熱または波動分野からの出題が多いが、2024年度はA日程の2月5日の試験が熱で、S日程の1月28日とA日程の2月7日の試験が波動だった。波動はどちらもドップラー効果を扱っているが、S日程の1月28日の問題は音源が等加速度運動をする珍しい問題だった。A日程の2月7日の試験のドップラー効果は比較的よくある出題だったが、図がないのでわかりにくかっただろう。

A日程2月5日の試験の熱は、単原子分子でない理想気体を扱っていた。単原子分子でない理想気体の内部エネルギーの式、定積モル比熱と定圧モル比熱と気体定数の関係を知らないと解けない珍しい問題だった。

大問4は電磁気分野から、電気分野と磁気分野が半々くらいの割合で出題される。2024年度は1月28日の試験では電車への送電の仕組みが出題され、2月5日の試験ではリニアモーターカーの原理が出題された。電車への送電の問題は未知数が多すぎて非常に複雑に見えるが、キルヒホッフの法則で丁寧に計算していけば単純な結論に行きつける。リニアモーターカーの原理の問題は、設問としては易しかった。2月7日の試験では静電気力による等速円運動とローレンツ力による等速円運動が出題された。

力学は全分野から偏りなく出題されている。

熱分野では気体の状態変化と熱力学の第一法則に関する出題が中心になっている。波動分野では波の基本的な性質、気柱の共鳴、弦の振動、ドップラー効果、光の干渉など、幅広く出題されている。

電磁気分野では点電荷による電場や電位といった基礎概念の確認問題や、コンデンサーを含む直流回路が多く出題されている。

原子分野に関しては、第1問の小問でしか扱われないが、幅広く出題されている。

2025年度入試対策・学習アドバイス

問題の多くは標準レベルの問題であるが、物理の基本法則について、応用力を伴う本質的理解が要求されるものもあるので、解法の暗記による断片的な知識では通用しない。普段から、解法の元になっている根本の法則まで(さかのぼ)って考える習慣があるとよい。問題の多くは標準的な内容であるが、たまに典型的な型にあてはまらない意欲的な問題も出題されるので、問題集での演習をしっかりやったうえで、過去問もしっかりと研究しておきたい。力学、熱、波動、電磁気、原子のすべての分野において、幅広く全体から出題されているので、偏りなく全分野を勉強しておく必要がある。原子はほぼ毎年出題されているので、原子もしっかりと勉強しておかなければならない。

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