皇學館大学大学からのお知らせ 入試対策情報
古文
2024年度入試の問題分析
2024年度一般入試では、平安時代の物語『とりかへばや物語』、鎌倉時代の日記『弁内侍日記』、江戸時代の紀行文『菅笠日記』が出題された。前2作品は入試頻出の作品、後の1作品もしばしば出題される作品である。本文量は、750~970字前後で、私立大学入試の標準的分量の範疇といえる。
設問の解答形式はマーク方式で、設問は問七~八、マーク総数は10または12であった。設問内容は、短めの解釈問題3~4問(「年頃の本意」「しるしありて」「いといとほしくて」「なまめきたる」など)、文法問題1~2問(「れ」「るる」の識別、「ぬの識別、敬意の方向)、文学史問題1問(本居宣長の著作など)が全日程で出題された。加えて、長めの解釈問題、内容・理由などの説明問題、和歌に関する問題(解釈・和歌修辞の説明)、内容合致問題などが出題された。古文常識問題は2023年度も出題されていたが、2024年度は本文場面での月の形を5つの絵のなかから選ぶ珍しいものであった。総じて標準的な難易度であった。
2025年度入試対策・学習アドバイス
単語と文法
まずは、単語・文法の基本の知識を着実に身につけ、本文の直訳ができるようになることが大切である。
単語については、市販の重要単語集などを利用して、最低でも300語前後の頻出単語の意味を暗記しておこう。何度も繰り返し徹底的に覚えること。
文法については、用言の活用、助動詞の活用・接続・意味、頻出の助詞の意味用法を、一通り押さえたい。そのうえで、紛らわしい語(「ぬ・ね」「る・れ」「なり」「に」「なむ」など)については、識別ポイントを整理し、正しく識別ができるように練習してほしい。
敬語についても、意味や敬語の種類、敬意の方向も答えられるようにしておくこと。短文ドリル形式の問題で繰り返し練習すると効果的である。
そのほか、有名作品に関する文学史についても一通り押さえておこう。
読解力
読解力は、長文を読むなかでしか養われない。ただ漠然と古文を読むだけでなく、入試頻出問題集などを利用して、「本文を読む力」と「読解問題に答える力」の両方を養っていきたい。
長文を読むときには、重要単語や文法の知識を用いつつ直訳するのが基本である。「雰囲気」ではなく「知識」で読むようにすると得点力がアップする。重要語の意味を文脈に合うように考えたり、多義語の意味を正しく選択できるように、「覚えた知識」を「使える知識」にすることを意識して練習してほしい。さらに、直訳に加えて、「誰が」「誰に」「何を」などの省略されている内容を補ったり、指示語の内容を具体化しながら読むことを心がけると、読解力を高めることになる。
最後に、和歌も忘れずに強化しておくこと。「句切れ」や「掛詞」「枕詞」「序詞」「縁語」といった主な和歌修辞を理解して、本文中の和歌のなかで具体的に説明できるようにしておきたい。そのうえで、文脈を踏まえた和歌の理解ができるように練習を積もう。
恋愛・結婚・政治・戦・出家・死などを描く様々な本文を読み、読解の練習を積んでおくと、素早い状況把握に役立つ力になるはずである。
「初めて読む本文でも読解できる」ことをめざして勉強を続けてほしい。