
現代文
2022年度入試の問題分析
大問3題から構成される。(一)が評論、(二)が小説の読解問題、(三)が知識問題という出題形式は2022年度も変わらなかった。読解問題は問題文の分量が際立つ。2022年度は(一)が約6,000字、(二)は8,000字を超えるもので、2021年度よりさらに長文化した。解答はすべてマークシート方式。(一)は人間の身体をめぐる哲学的評論(河野哲也『境界の現象学』)、(二)は黒島伝治の『電報』という大正時代の短編小説(の全文)が出題された。どちらも読みづらい文章ではないが、テーマや時代背景が多くの受験生にはなじみのないものであり、読み進めるのに苦労したかもしれない。設問は空所補充、傍線部内容説明、本文全体の内容一致などオーソドックスなものである。知識問題はA漢字の書き取り、B文の意味に合う表現を答える問題、C文学史という設問構成だった。2021年度に出題された表現の問題1問がなくなり、漢字の書き取りが1問増えた。全体の難易度は標準程度。
2023年度入試対策・学習アドバイス
長文への対策
問題文の長さは多くの受験生にとって負担になるだろう。何度も読み返す時間の余裕はないので、内容を手際よくまとめることが必要になる。しかし、傍線の前後だけを読んで解答することは決して勧められない。全体を通読し、論旨や展開を把握してから解答した方が正答率は高いはずだ。したがって、長い文章を最後まで読み通し、確実に理解するための訓練が必要になる。まずは、問題を解く前に文章の構成というものを意識することから始めよう。段落、あるいは内容的な区切りごとに一度先に進むのをやめ、今読んだ箇所に何が書かれていたか確認する。適宜メモを取りながら、文と文、段落と段落の関係に注意し、全体の文脈を見失わないようにすること。こうした読解方法を身につけるため、長い文章を用いた問題集で演習を重ねるとよい。自分の読み方が正しいのか確認しなければならないので、本文の解説が充実したものを選ぼう。また、センター試験、共通テストの過去問も有用である。いずれも、ただ問題を解くだけでなく、文章を正確に理解するための練習として取り組もう。
テーマについての学習
どのようなテーマの文章が出題されるか予測することは難しい。何が出ても対応できるようにするためには、読解力を身につける以外に、苦手な分野を敬遠せず、積極的に触れておくことも重要だ。模試や問題演習で読みづらいと感じる文章があれば、理解できるまで何度で繰り返し読もう。また、同じ筆者の別の文章を読むこと、当該分野について用語集や国語便覧などで調べることも有効だ。
知識はバランスよく学習する
漢字の書き取りは毎年出題されるので必ず対策すること。大学入試向けの漢字問題集を1冊選び、できるだけ早い時期から始めよう。解答はマークシート方式でも、演習時は自分で紙に書いて覚えよう。また、現代文の用語集を用いて語彙のチェックをすることも忘れずに。とりわけ四字熟語は入念に確認しておこう。漢字・語彙とも毎日少しずつ進めるとよい。文学史は近現代の作家について、大体の時代、代表作品、属していたグループなどをまとめておこう。穴埋め式の問題集があるので、本番までに繰り返し解き、知識の漏れがないようにすること。