工学院大学大学からのお知らせ 入試対策情報
物理
2025年度入試の問題分析
試験時間は80分で、大問4題が出題される。日程による多少の難易度のばらつきはあるが、全体的には標準レベルの問題である。独創的で意欲的な出題もある。
第1問は小問集合で、小問数は4~7問程度。力学、電磁気、波動、熱、原子の5つの分野から偏りなく出題される。リニアモーターカー、ヒートポンプ、計算機の動作原理などを扱う独創的な出題がある。また、現象名・法則名・人名・単位などを問う問題も出題される。2025年度のA日程の2月5日の試験では、「ハイゼンベルク」の「不確定性原理」を答えさせる問題が出されたが、高校物理では扱わない内容なので、おそらく正解できた受験生はいなかったであろう。
第2問以降は、6~8問の小問からなり、出題形式は空所補充式、問形式が多い。結果をグラフ化する描図式の問題が出題されることもある。2025年度A日程の2月5日の試験では第4問で電圧計の接続の仕方を作図する問題が出された。第2問は力学で、2025年度のS日程の1月28日の試験では、鉛直方向に単振動する水平な板の上を運動する物体の問題が出された。物体は動摩擦力で減速するが、板の鉛直方向の単振動により垂直抗力の大きさも増減するので、摩擦力も増減し、加速度が周期的に変化する。それを物体と同じ向きに等加速度で運動するカメラから見下ろして撮影すると、単振動をしているように見えるという複雑な設定の問題だった。設定は複雑だが、設問はそれほど複雑ではなかったので、諦めずに取り組むことが求められた。第3問は熱、または波動分野からの出題で、熱分野からは、ヒートポンプの原理、熱効率の考察などが出題されており、波動分野からは、ドップラー効果、虹が見える原理、マイケルソンの干渉計などが出題されている。ヒートポンプの原理は高校物理では扱わないので、とても難しい問題に見えるが、問題文を丁寧に読んでいけば解けるようにつくられている問題だった。第4問は電磁気分野から出題される。2025年度S日程の1月28日の試験の第4問は計算機が情報を記憶する仕組みをコイルと豆電球の回路を用いて説明している。設問はすべて豆電球の光り方を文章で説明するものだったが、豆電球がどのような光り方をするかを説明できるためにはコイルの自己誘導を正確に理解しておく必要がある。見慣れない問題が少なからず出題されるので、解法の習得だけではなく、問題文をきちんと読んで理解し、深く考える姿勢が必要になる。初めて遭遇する題材の問題でも、弱気にならずに問題文をよく読んで、深く考えることが求められる。
2026年度入試対策・学習アドバイス
問題の多くは標準レベルの問題であるが、物理の基本法則について、応用力を伴う本質的理解が要求されるものもあるので、解法の暗記による断片的な知識では通用しない。普段から、解法の元になっている根本の法則まで遡って考える習慣があるとよい。問題の多くは標準的な内容であるが、見慣れない意欲的な問題も出題されるので、問題集での演習をしっかりやったうえで、過去問もしっかりと研究しておきたい。力学、熱、波動、電磁気、原子のすべての分野において、幅広く全体から出題されているので、偏りなく全分野を勉強しておく必要がある。原子はほぼ毎年出題されているので、原子もしっかりと勉強しておかなければならない。



