
古文
2023年度入試の問題分析
出典は、2月2日試験が『十訓抄』(鎌倉時代、説話)、2月3日試験が『狭衣物語』(平安時代、作り物語)。2021・2022年度は連続して説話2題の出題であったが、説話と作り物語の出題であった。設問内容は、現代語訳、語句の意味、動作主の判定、指示語、理由説明、内容・心情説明、さらに文法問題(動詞の活用の種類、助動詞の意味・活用形)・空欄補充などが出題された。
解答の形式は、2月2日試験は設問数8、解答数13。問1の現代語訳と問4の解釈の説明問題の空欄補充は記述で、それ以外は記号選択問題であった。2月3日試験は設問数7、解答数11。問4の現代語訳、問5の60字以内での内容説明問題は記述式で、ほかは記号選択問題であった。2022年度と比較して記述量は増加した。
問題文の長さは、2022年度の『今昔物語集』は約1,200字と長かったが、『狭衣物語』が約600字、『十訓抄』はおよそ460字と短いものだった。
2024年度入試対策・学習アドバイス
古文単語は形容詞が中心
古文単語の学習は300語レベルまでは必要である。2023年度に設問のうえで問われた語句は「僻事」「さらなり」「いとど」「むつかし」「うたて」「あながちなり」などである。文中で使われた重要単語としては「しのぶ」「はかばかし」「わびし」「心にくし」「さらに…打消」などが挙げられる。選択式の設問以外に、記述の現代語訳もあるので、普段から短文の現代語訳を正確に書く練習をしよう。
動詞の活用の種類と助動詞の意味と活用形
活用の種類が問われた動詞は、「経(下二)」「給ふる(下二)」「心す(サ変)」であり、下接する助動詞・助詞の接続の理解も求められる。活用の種類は行や活用形も問われることがあるので、「〇行・〇活用・〇形」まで見分けることができるように。
助動詞の「き」の活用形、「まじ」の意味と活用形、「る」識別も問われた。「しむ・む」の活用も出題されたこともあるので、助動詞は接続・活用・意味をしっかりと学ぼう。空欄補充では、係り結びも重要な着目点となる。
主体判定や説明問題は敬語に注目
敬語は動作の主体判定の鍵となる。敬語動詞の「おぼす」「のたまふ」「参る」「申す」などは訳だけでなく、「誰の誰に対する動作なのか」を考える。
理由説明や内容説明では、ことわざや比喩の具体的説明など、文脈把握と総合的な読解力が要求され、記述での解答も求められるので本腰を入れた学習が必要になってくる。
現代語訳の問題は総合力
現代語訳は、記述式でも出題されている。しかも、人物を特定し、指示語の内容を具体的に訳すように設問文で指定されている。また、陳述の副詞「え~打消」(不可能)・「な~そ」(禁止)、反実仮想の助動詞「まし」や敬語「参る」「侍り」などがポイントとなるなど文法事項や内容把握にも努めよう。
過去問の演習を
白百合女子大学では、2月2日試験と2月3日試験の設問パターンが異なるが、年度によって形式や長さも入れ替わる。したがって、現在の傾向となった2011年度以降の問題を両日程ともに演習するのが有効である。