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古文
2021年度入試の問題分析
出典は、2月2日試験が『宇治拾遺物語』(鎌倉・説話)、2月3日試験が藤原信実『今物語』(鎌倉・説話)であった。2018年度が新井白石『藩翰譜』(江戸・歴史)、上田秋成『癇癖談』(江戸・随筆)と2題とも江戸時代の文章、2019年度が、清少納言『枕草子』(平安・随筆)、鴨長明『発心集』(鎌倉・説話)、2020年度は室鳩巣『駿台雑話』(江戸・随筆)、本居宣長『排蘆小船』(江戸・歌論)と江戸時代の作品が2題であったことから隔年の出題傾向となった。
設問内容は、現代語訳、単語・語句の意味、動作主の判定、指示語理由説明、内容・心情説明、さらに文法問題(動詞の活用の種類、助動詞の意味と活用形)などが出題された。
解答の形式は、2月2日試験は設問数は9、解答数は18。問1・3の現代語訳は記述式で、それ以外は記号選択問題であった。2月3日試験は設問数7、解答数14、問4が20字以上30字以内での記述式で、ほかは記号選択問題であった。
問題文の長さは、『宇治拾遺物語』は約660字、『今物語』が約400字と、両試験とも2020年度より短めになっている。
2022年度入試対策・学習アドバイス
古文単語は形容詞が中心
古文単語の学習は300語レベルまでは必要である。2021年度に設問で問われた語句は「あからさま(なり)」「やがて」「心もとなし」「やさし」「心得」「諌む」などである。文中で使われた重要単語としては「あさまし」「心憂し」「けしき」「愁へ」などが挙げられる。
選択式の設問以外に、記述式の現代語訳もあるので、普段から短文の現代語訳を正確に書く練習をしよう。
動詞の活用の種類と助動詞の意味
活用の種類(何行何活用)と活用形(何形)が問われた動詞は、「覚ゆれ(下二・已然形)」「着(上一・連用形)」であり、下接する助動詞・助詞の接続の理解も求められる。
また、過去には助動詞の「しむ・む・り」の活用も出題された。
助動詞だけではなく、接続助詞と終助詞の接続にも注意しておこう。
識別問題では、「に」「なり」「せ」「り・る・れ」などにも注意しよう。
主体判定や説明問題は敬語に注目
敬語は動作の主体判定の鍵となる。敬語動詞の「おぼす」「のたまふ」「参る」「申す」などは訳だけでなく、尊敬語は動作の主体(為し手)、謙譲語は動作の客体(受け手)にも注意する。
現代語訳の問題は総合力
現代語訳は、記述式でも出題されている。しかも、人物を特定し、「かく」の示す内容を具体的に訳すように設問文で指定されている。
自己の願望の終助詞「ばや」や敬語動詞などがポイントとなるなど文法事項や内容把握にも努めよう。
理由説明や内容説明では、ことわざや比喩の具体的説明など、文脈把握と総合的な読解力が要求されてくるので本腰を入れた学習が必要になってくる。
過去問の演習は
白百合女子大学では、2月2日試験と2月3日試験の設問パターンが異なるが年によって形式や長さも入れ替わる。したがって、現在の傾向となった2011年度以降の問題を両日程ともに演習をするのが有効である。