白百合女子大学大学からのお知らせ 入試対策情報
古文
2024年度入試の問題分析
出典は、前期A日程試験が『平家物語』(鎌倉時代、軍記物語)、前期B日程試験が井原西鶴『日本永代蔵』(江戸時代、浮世草子)。2021年度、2022年度は連続して説話2題の出題、2023年度は説話と作り物語の出題であった。
設問内容は、現代語訳、単語・語句の意味、動作主の判定、指示語、理由説明、内容・心情説明、さらに文法問題(動詞の活用の種類、助動詞の意味・活用形・識別)・空欄補充などが出題された。
解答の形式は、前期A日程試験は設問数9、解答数はマーク9箇、問2の現代語訳2箇が記述であった。前期B日程試験は設問数8、解答数はマーク7箇。問2の理由説明の空欄補充2か所(10字以内・30字以内)、問5の形容動詞の活用、問8の現代語訳は記述式であった。2023年度と比較して設問数にはほぼ変化がなかったが、記述量は減少した。
問題文の長さは、2023年度の『狭衣物語』が約600字、『十訓抄』は約460字と短いものだったが、2024年度はともに1,040字程度と長めとなった。
2025年度入試対策・学習アドバイス
古文単語は形容詞が中心
古文単語の学習は300語レベルまでは必要である。2024年度の本文にみられる重要語句は「被(かづ)く」「永(なが)らふ」「具す」「尽く」「憂(う)し」「くるし」「おぼつかなし」「口惜し」「なのめなり」「やうやう」「つゆばかり…(なし)」「日来」「今生・後生」などである。
選択式の設問以外に、記述の現代語訳もあるので、普段から短文の現代語訳を正確に書く練習をしよう。
動詞の活用の種類と助動詞の意味と活用形
活用の種類が問われた動詞は、「見る(上一)」「崩る(下二)」であり、活用の行や活用形も問われることがあるので、「〇行・〇活用・〇形」まで見分けることができるように。
助動詞の「り」「き」「けり」の活用形と「し」の識別も問われた。「しむ・む」の活用も出題されたこともあるので、助動詞は接続・活用・意味をしっかりと学ぼう。空欄補充では、係り結びも重要な着目点となる。
助詞の学習もおこたらずに
接続助詞「ば」の意味用法や、自己の願望を表わす終助詞「ばや」などが問われた。助詞は選択肢を分けるポイントになっているし、現代語訳でも問われている。
主体判定や説明問題は敬語に注目
敬語は動作の主体判定の鍵となる。敬語動詞の「おぼす」「のたまふ」「参る」「申す」などは訳だけでなく、「誰の誰に対する動作なのか」を考える。
理由説明や内容説明では、ことわざや比喩の具体的説明など、文脈把握と総合的な読解力が要求され、記述での解答も求められるので本腰を入れた学習が必要になってくる。
現代語訳の問題は総合力
現代語訳は、記述式でも出題されている。しかも、人物を特定し、指示語の内容を具体的に訳すように設問文で指定されている出題もある。また、陳述の副詞「え~打消」(不可能)・「な~そ」(禁止)、反実仮想の助動詞「まし」や敬語「参る」「候ふ」などがポイントとなる。
過去問の演習を
白百合女子大学では、前期A日程試験と前期B日程試験の設問パターンが異なるが、年度によって形式や長さも入れ替わる。したがって、両日程の問題をできるかぎりさかのぼって演習するのが有効である。
なお2025年度からは、「国語」は大問2題(大問2が現・古の選択式)で試験時間は60分になる。詳細は大学HPで確認しよう。