東京薬科大学大学からのお知らせ 入試対策情報
化学
2024年度入試の問題分析
薬学部B方式は大問5題で、マークシート方式である(一部記述式あり)。問題内容は、(1)物質の分類、イオン、酸化物、量的関係、窒素の化合物、沈殿生成反応に関する知識および計算問題の小問集合。すべて基礎知識である。(2)問1はアンモニアの電離平衡と緩衝液の計算問題、問2はヨウ素滴定に関する計算問題、問3は燃料電池に関する計算問題。いずれも典型的な設問であった。(3)問1は熱化学と化学平衡の計算および平衡移動に関する典型問題、問2はプロパンと酸素の気体反応および蒸気圧に関する典型的な計算問題。(4)問1はジカルボン酸の元素分析と異性体を数える基本問題、問2はアルデヒド、問3は芳香族化合物の知識問題、問4は不飽和度を意識した計算問題、問5は分子式C22H19NO2の芳香族化合物の構造決定、問6は医薬品の知識問題。すべて基礎レベルの問題である。(5)問1は陽イオン交換樹脂の計算問題とアミノ酸の分離。合成高分子の計算は不得手な受験生が多いので、差がついたであろう。問2は熱硬化性樹脂の基礎知識。全体としては、例年よりも典型問題の割合が増えて、平均点は上がったと思われる。
生命科学部B方式は大問5題で、マークシート方式である(一部記述式あり)。問題内容と難易度は、(1)原子、イオン、分子、単体に関する基礎知識と量的関係の計算問題。すべて基礎レベルである。(2)食酢の中和滴定の計算問題。典型的である。(3)熱化学および混合気体の燃焼の計算問題。熱化学は不得手な受験生が多く、また3種の混合気体の燃焼なので、差がついたと思われる。(4)問1はC4H8の異性体、問2はアルケンおよび芳香族化合物の構造決定。基礎問題であるが、酸触媒でなくAlCl3触媒を用いたアルキル化の反応で戸惑った受験生も少なくないであろう。(5)アミノ酸、タンパク質、糖類に関する基礎知識と、油脂のけん化価の計算問題。全体としては、例年よりやや難度が上がり、平均点が下がったと思われる。
2025年度入試対策・学習アドバイス
薬学部への対策
理論分野は、滴定の問題も多いが、平衡や電離平衡、電気分解の出題も多い。ほとんどが基本~標準レベルの問題であるが、溶液論については一段高いレベルの問題が出ることもあるので、備えておきたい。無機分野からの出題は少ないので、金属イオンの反応と分離、および気体の実験室的製法と性質を押さえたら、元素別各論は問題集の基本問題を解けるようにしておけば大丈夫である。有機分野は、近年は基礎的な問題が多いので手薄な分野が無いようにしておけば大丈夫である。
生命科学部への対策
近年は基本問題が中心なので、手薄な分野が無いようにしておけば、高得点が狙える。ただし、2024年度は典型問題の割合が増えたので、少しレベルを上げて準備した方がよさそうである。試験時間に対して計算問題の量が多いので、素早く解法を想起できるように練習する必要がある。また、過去問題を用いて、時間配分の練習を積む必要がある。薬学部同様に無機分野の出題は少ない。原子の構造から化学量までの、化学基礎前半からの出題比率が高いので、取りこぼさないように固めておこう。有機分野は、脂肪族芳香族から半分、天然合成から半分であるが、思考力を要する決定問題よりも、基礎知識の抜けが無いように準備することが大切である。