産業能率大学大学からのお知らせ 入試対策情報
日本史
2024年度入試の問題分析
前期スタンダード方式(2月1日)を分析する。出題形式は大問が6題、小問が36問と、大問・小問数は例年通りであった。また、各大問で取り上げられた時代も例年通りで、第1問ではテーマ史、第2問では古代史、第3問では中世史、第4問では近世史、第5問は近代史、第6問は近現代史が出題された。出題分野に関しては、各分野まんべんなく出題されているといえよう。解答形式は、すべてマークセンス方式である。産業能率大学は選択問題に比して、正誤問題(3文・4文)が多く出題されている。また、3文を用いた配列問題の出題も見られた。文献史料や表、地図などを用いた問題も見られ、過去には図版や系図、グラフを用いた問題も出題されている。正誤問題が多いため難しく感じる受験生もいるかもしれないが、難易度は標準的なものである。
編集部注:2025年度より試験時間60分の「前期I(3教科)」に変更となる。
2025年度入試対策・学習アドバイス
歴史用語の理解が重要
産業能率大学の日本史は、出題の約半分が3文・4文を判断する正誤問題で構成されている。正誤問題は用語の単純な暗記のみでは、正答を導くことは難しい。用語の内容の正確な理解や、その用語の時代背景(時期)などを意識した学習が必要となる。一般的に正誤問題は正文よりも誤文の方が判断しやすいことが多い。その文が誤文となる根拠を問題ごとに明らかにすることが重要である。産業能率大学の過去問や共通テスト日本史(旧センター試験)の問題などを利用して、多くの正誤問題に向き合っていきたい。その際、設問文と教科書を照らし合わせる癖をつけると、より用語の理解を深める学習を行うことができるだろう。
配列を意識した学習が必要
産業能率大学では、3文の順番を判断する配列問題が例年出題されている。2024年度も5問の出題が見られたので、配列問題への意識も重要であるといえよう。配列問題を解答するうえでのポイントは、文の順番を判断する際になるべく西暦に頼らないということにある。例えば、問4のように「石川島に人足寄場を設置」(1790)と「目安箱が設けられた」(1721)の順序を判断する際、西暦で判断しようとするとすべての出来事の西暦を把握していなければならないということになる。しかし、人足寄場が設置されたのは寛政の改革時、目安箱が設けられたのは享保の改革時と、文章を改革に変換できれば、西暦を暗記していなくとも順番は判断できる。時代や政権担当者、世紀、文化名など、順番がわかるもので順序を判断するという意識を持っていきたい。
テーマを意識した学習を進めたい
産業能率大学では、第1問でテーマ史が出題されることが通例となっている。
2022年度は「女性史」、2023年度は「北海道・沖縄史」、2024年度は「東国・関東の歴史」が出題された。いずれもテーマ史では定番のテーマが用いられたといえよう。通常、通史を学習する際、時代ごとに学習を進めることが一般的である。もちろん、通史で日本史を理解することが重要であることはいうまでもないが、通史の学習がある程度進んだ後は、それぞれのテーマに絞った学習を行うことも産業能率大学では重要であるといえる。例えば、「日中関係史」や「教育史」などとテーマを決めて、その項目だけを教科書などを利用して抜き出してみるなどの方法がテーマ史学習には有効である。