<入試科目の掲載について>
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公立

とうきょうとりつ

東京都立大学

東京都立大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2020年6月時点のものです

理学部 物理学科
電子物性研究室(電子物性実験)

結晶構造に特有の電子の状態や働きを解明し
未知の性質をもつ物質の合成に挑む

研究テーマ

トポロジーが隠れた未知の化合物を作る

最先端研究のために集結した研究室の個性的な学生たち

「物質は様々な元素の原子が組み合わさってできており、どんな原子がどのように配列しているのか(結晶構造)に応じて、物質の性質が劇的に変化します。これらの多彩な性質は、すべて各原子のなかに含まれる電子の集合体(膨大な数の電子)によりもたらされています。それを解き明かす研究分野が“電子物性”です」と話すのは、青木勇二先生だ。電子物性には様々なテーマが含まれるが、なかでも2016年にノーベル物理学賞を獲得するなど、近年脚光を集めているのが“トポロジカル電子物性”である。

「トポロジーは “形を分類する数学の考え方”です。このトポロジーの言葉で表すことができる特異な電子状態が、物質中に発現しうることが最近発見され、世界的に研究が活発化しています。私たちはメビウスの輪のような捻じれた性質を持った電子状態に注目し、このような電子状態を内部に持つ幾つかの化合物について、世界で初めて純良な結晶を作ることに成功しました。トポロジカル電子状態がどのような性質となって現れ、これを用いて何ができるのかを解き明かすために、国内外の研究グループと共同研究を推進しています」

研究の醍醐味

開拓・探索を合言葉に新しい実験を試みる

研究室が手がける現在の主力テーマが、磁力と通電性を持つ化合物の単結晶合成だ。

「“方位磁石”の役割をするミクロな原子磁石を碁盤の目のように並べた層と、電気を流す層を、原子レベルで交互に積み重ねた化合物の結晶を、世界で初めて作り出しました。この2つの層は互いに相互作用し、方位磁石の方向が変化すると電気の流れやすさが数百倍も変化します。これを測定し磁場の方向を知る“磁場センサー”として、この物質の応用を検討しています」

青木先生は、研究のおもしろさについて次のように語り、学生への期待を伝えてくれた。「電子物性研究室は“開拓”“探索”の好きな人が楽しめる研究室です。世の中には、人類がまだ合成していなかったり、性質を調べていない物質が多数眠っています。どのようにすれば、この宝の山が眠る鉱脈に近づけるのか、センスが問われる研究分野です。過去に人類の誰も行っていない実験を行えば、たとえ小さなことでも、その成果は学問の世界や社会への貢献につながります」

研究室の様子

不純物を取り除き、できるだけ純良な結晶の育成をめざす。アーク放電で溶けた液体金属から、世界初となる結晶を引き上げる。

合成された物質の様々な性質を、絶対零度に近い温度まで下げて測定する装置。極低温にすることで、通常では見られない状態を観測することができる。

研究の合間に、高尾山に登ってリフレッシュ。研究室には留学生も含め様々な学生が集い、コミュニケーションも重要だ。

指導教員 青木 勇二 教授

広島大学大学院理学研究科博士課程後期物理学専攻終了。博士(理学)。2011年より現職。専門は電子物性実験。日本物理学会論文賞を三度受賞。

このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 東京都立大学 アドミッション・センター(入試課)
Tel 042-677-1111
E-mail admission-tmu@jmj.tmu.ac.jp

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