東京都立大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介
掲載している内容は、2026年3月時点のものです
システムデザイン学部 電気電子工学科
オプトエレクトロニクス研究室
オプトエレクトロニクス研究室の1枚!

これは何の実験をしているところですか?

光ファイバーにつなげる『変調器型光コム装置』の開発です。

それほど大がかりな装置ではないのですね?

既存の光通信インフラにも組み込みやすいように、コンパクトに簡略化した装置をめざしています。
光コム技術の実装で、光通信や光センサーの未来を切り拓く
研究テーマ
光通信を大容量高速化する光コム技術
櫛の歯のように等間隔の周波数で光を分光している様子
現代社会で、ネットワーク環境は重要な社会インフラとなっている。かつてのネットワークは電線によってつながれていたが、データが大容量化した現在は拠点を光ファイバーでつなぐ光通信が標準となっている。その光通信において、さらに大容量・高速化を可能にする技術の研究開発を行っているのが、坂本高秀先生が率いるオプトエレクトロニクス研究室だ。光と電子の技術を融合した技術に取り組んでいる。
坂本先生は、光ファイバー通信の現状と研究がめざすところについて、道路に例えて説明してくれた。
「光ファイバーは、例えると高速道路みたいなものです。高速道路には複数の車線がありますが、光ファイバーも同様です。ただし現状の光通信では1つとか2つ程度の車線しか使えていません。そこで使える車線を数百とか千に増やすことで、通信容量を格段に増やし高速化させようという取り組みです。そのために使う技術が“光コム”です」
“コム”とは、櫛の意味で、光を細かく分光して、多数の周波数スペクトルが櫛の歯のように一定間隔で並んだ状態のこと。この技術を使って、光通信の大容量化を図るという。
「高速道路の入り口で、入線する自動車を各車線に分散してあげれば、より多くの交通量に対応することができますよね。それと同じで、電気信号を光信号に変える段階で、光コムによって細かい周波数の光に分光し、それぞれに別のデータを乗せることで、光ファイバーの通信容量を増やし高速化することができます。100本の櫛の歯を使えば、100人が同時に使っても大丈夫というわけです」
研究の応用
コンパクトな変調器型光コム装置の開発に取り組む
コンパクトな変調器型光コム装置の開発が、インフラ実装につながる
大容量光通信の実用化のキーとなる研究が、光コム通信に適した光源の開発と、電気信号を光に変える装置の小型化だ。電気信号を光信号に変えるのが“光変調器”と呼ばれる装置で、現在の光ファイバーを使った光通信でも使われている。そこに光を分光し光コム状態にするための装置を組み合わせる。光源には半導体レーザーが使われるが、従来の技術では、安定した光コムの光源をつくるには、大がかりな装置になるという。しかしそれでは既存の光通信インフラに組み込むことは難しい。そこで現在取り組んでいるのが、小型の変調器型光コム装置の開発だ。
「既存の光ファイバーに使われている光変調器と同様のコンパクトなサイズで、光コムを可能にする変調器型光コム装置の製作に取り組んでいます。これを光ファイバーの入り口と出口に使うことで、インターネットを100倍速くするようなことをめざしています」と坂本先生は話す。
また、光コム技術には光通信以外の可能性もあり、様々な応用技術の開発にも取りかかっている。そのひとつが超高速分光センサーだ。動画は撮影した画像のコマを連続してみることで成り立っている。光コムの技術を使いコマを並列して扱う方法で、より高速で解像度の高い動画撮影ができる光センサーが実現する。また光のスペクトルから成分を推定する分光光度計という分析器があるが、光コムをセンサーに組み込むことで、コンパクトな分光装置も可能になるという。
「例えば、色のついた液体にスマホのカメラを向けるだけで、その成分が測定できてしまうような、そういう応用も視野に入れて研究を行っています」
学生の学び
研究室では、学生も一人の研究者
坂本先生は、研究室に入ってきた学生に、自律した研究者としての姿を求めている。
「勉強と研究はまったく違います。講義を受ける勉強では受け身になりがちですが、研究は自分から動くことが基本になります。そういう意味では、大学院生はもちろん、研究室に来たばかりの4年生であっても、一人の研究者として考えています。もちろん、学部生が最初から経験豊富な研究活動をするのは簡単ではありません。だからといって、自分を過小評価してしまうのはダメですね。失敗も研究の結果のひとつです。120%の自信を持って取り組んでいただきたいです」
研究室では、先生と学生は協力し合う関係でありたいと坂本先生は言う。
「研究では、僕自身が答えを用意できるわけではありません。僕自身も一人のプレイヤーであり、学生の皆さんとコラボレートしながら研究に取り組んでいます」
また、研究室では積極的な学会への参加を推奨している。大学院生はもちろんのこと、学部生でも機会があれば学会に参加する。学会でも臆することなく、失敗を恐れずにぶつかっていくことを信条にし、研究活動の目標のひとつに設定しているという。
「目標を逆算して、社会に貢献するために取り組むのが、エンジニアリングです。そのおもしろさを、研究活動を通して知っていただきたいですね」と、坂本先生は高校生へのメッセージを発してくれた。
学生の声

国際学会への参加はかけがえのない経験になります
大学院システムデザイン研究科
電子情報システム工学域※
博士前期1年 H.K.さん
※2026年度より情報科学域および電気電子工学域へ再編
*学年・インタビュー内容は取材時のもの
電子情報系は幅広い学びができるのが特長だと考えて、進学しました。学部の2・3年生の頃に、坂本先生の講義で、AIやビッグデータなどが発展し、やり取りする情報量が膨大化する現状から、光通信の需要拡大や重要性について知り、研究室選択につながりました。
現在取り組んでいるのは、電気光変調器を用いて光コムを平坦化させる研究です。この装置のメリットは制御性が非常によいことにあり、狙った波長の強度の安定性を高めることができます。強度がバラバラだと信号品質が低下し通信には使えないので、より安定性の高い光コムを、安価な装置で実現することをめざし、実験を繰り返しています。環境要因など、様々なファクターで実験結果は変わりますが、どの部分が邪魔しているのかを想定し、自分のなかで組み立てて実験に臨みます。それがうまくいったときの達成感がモチベーションになりますね。
またこの春には、4年次の研究成果をまとめ、アメリカで開催されたCLEOという学会に参加しました。いきなりオーラルセッションでの発表が採択され、英語でのスピーチや質疑応答など大変でしたが、素晴らしい経験となりました。こういった国際学会への参加は自信になりますし、今後にもつながると思っています。
東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻、博士(工学)。国立研究開発法人情報通信研究機構 光ネットワーク研究所光通信基盤研究室 主任研究員を経て、2018年から首都大学東京(現・東京都立大学)システムデザイン研究科准教授。2020年より、東京都立大学システムデザイン研究科准教授。光通信・計測、光エレクトロニクス、光ファイバ工学が専門分野。
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このページに関するお問い合わせ
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| Tel | 042-677-1111 |
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