公立

とうきょうとりつ

東京都立大学

東京都立大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2026年9月時点のものです

経済経営学部 経済経営学科
経済思想史研究室

経済思想史研究室の1枚!

ゼミは3年生と4年生が合同で行っているのでしょうか。

3年生主体で進め、4年生は就職活動もあるので、スポット的に参加し、卒業論文の執筆を行います。

「経済学の古典を読む」がテーマですが、どのような古典を読んでいるのでしょうか。

今年はジョン・スチュアート・ミルの『自由論』、昨年はアダム・スミスの『道徳感情論』に取り組みました。経済学自体が実は思われているよりも幅が広い分野で、どちらも広義の経済学の古典であり、その観点から議論を行っています。

古典をじっくりと読み解き、今の社会課題と結びつけ、現代的意義を考える

研究テーマ

古典を読み直すことで現代の社会課題の新たな側面が見えてくる

古典を読むというと、昔の本を読むだけだと思われるかもしれません。しかし、実際にはすでに何十通りもの解釈が積み重ねられてきたテキストに改めて向き合うことで、これまで見過ごされてきた論点や通説とは違う読み方が見えてくることがあります」

このように話される金子創先生の研究室では、経済学における「古典」と呼ばれる文献を読み込むことを中心とした活動を行っている。

また、古典というと過去のことだけが対象のように感じてしまうかもしれないが、決してそうではない。私たちが現代社会で感じていることや関心事に結びつくことも多く、古典の現代的意義を考えることも研究室の重要な目的となっている。

今年、金子ゼミが輪読しているのはジョン・スチュアート・ミルの『自由論』だ。自分と同じような意見や価値観ばかりに触れることで、自分の考えが絶対的に正しいかのように感じてしまう状況を「エコーチェンバー」というが、それでは異なる意見が排除され、視野が狭くなってしまう。その点、『自由論』は経済学だけに特化した古典ではなく、「多様な意見を大事にしながら自由に議論する重要性を読み取ってもらいたい」と金子先生は考えている。

テキストを読み進めていくと、私たちが現代社会で感じていることにつながってくるという気づきがあるという。例えば、SNS上では現代の諸問題に対して、激しい議論が展開されることがある。これは『自由論』における言論や意見の対立をめぐる議論にも通じる。ゼミでは「当時の議論が時代を超えて説得力を持っているのか、その時代にしか通じなかった議論なのかを切り分け、整理することを1つのポイントとして」ゆっくりとテキストを読み進めていく。

ゼミでの学び

フラットな姿勢で考える力とあきらめずに取り組む力を身につけることが大事

ゼミではテキストの輪読だけでなく、夏にインカレゼミでプレゼンテーションを行い、後期には論文をまとめる。プレゼンでは滞りなく進められた部分も論文にまとめるとなると、補足する必要も出てくる。その都度、元のテキストに戻って確認したり、原典にあたったり、先行論文を調べたりし、グループで論文をまとめながら視野を広げ、理解を深めていく。

こうした学びを通して金子先生が学生に身につけてほしいことは主に2つあるという。「特定の考えに賛成できる、できないといった感覚は、誰しも持っていると思います。そうした感覚は議論の大切な出発点ですが、そこに固執しすぎないことも大事です。自分が感じた違和感を手がかりに、先入観を持たず、ほかにどんな見方があるのかをフラットに探っていく。そうすることで、自分とは違う見解を持つ人が、なぜそう考えるのかまで理解しようとする姿勢を身につけてほしいと思います」と金子先生。ゼミはその訓練のよい機会になる。

もう1つ、金子先生は「多くの人に読み継がれ、いろいろな解釈をされてきた文献であっても、根気強く向き合えばまだ発見できることがある」という感覚を身につけてほしいという。これは経済学の古典に限った話ではない。日常の様々な場面でも「もう出尽くしていると思われがちな話題に対して、諦めずに粘り強く向き合うことで新しい気づきを得られるという経験はどの分野に進んでも生きる力になる」と話された。

学生の声


現代のSNS社会で、自分でしっかり考える姿勢が身についた

経済経営学部
経済経営学科 経営学コース
4年 T.W.さん

*学年・インタビュー内容は取材時のもの

3年次のゼミではアダム・スミスの『道徳感情論』を取り上げたのですが、そこで論じられた「正義」の概念を手がかりに現代の「違法アップロード」や「二次創作」などの問題の倫理的な側面を考えました。SNSは匿名性があり、過激な発言や極端な意見が少なくありません。そうした意見は極端な分、刺さる人には強く刺さり、納得してしまうこともあります。自分自身、そう感じることが多々ありますが、ゼミの学びを通して、自分が納得して腑に落ちたことでもいったん立ち止まって、冷静に考えることができるようになった気がします。もちろん、それによって正しいと思うこともあれば、違うのではないかと思うこともあり、受験のような正解ありきの問題をひたすら解くのとは異なり、自分で考えることを求められる学びは、今後に役立つと思います。

これから卒業論文に取り組みますが、インターネットがなく、対面や手紙がコミュニケーションの主要な手段だった時代の考えで、現代課題を分析していこうと考えています。その温故知新的な試みから新たな発見ができるのが、古典を読み解く面白さのひとつだと感じています。

インカレゼミ

他大学のゼミとのインカレゼミは毎年、9月に行われる恒例行事だ。インカレゼミには7~8大学のゼミが参加。各ゼミが取り上げる古典は違うが、それぞれがどんな現代的な教訓を読み取ったのか、古典を読み進めるなかで重要だと思った現代的意義をまとめて発表する。プレゼンテーション後は参加ゼミの教員が集まって評価し、賞を決めるとともに、一つずつ講評も行う。

指導教員 金子 創 准教授

慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了後、慶應義塾大学経済学部の嘱託研究員、助教、大分大学経済学部社会イノベーション学科准教授を経て、2023年から現職に。研究分野は経済学史、経済思想史。

このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 東京都立大学 アドミッション・センター(入試課)
Tel 042-677-1111
E-mail admission-tmu@jmj.tmu.ac.jp

PAGE TOP