
※前年度情報を掲載中
現代文
2022年度入試の問題分析
一般選抜入試前期スタンダード3科目型の場合は、大問3題の構成。そのうち2題が現代文の問題で、残り1題が古文の出題となっている。現代文は本文3,000~4,000字程度。本文量は例年並みだった。大問1題あたりの設問数は9問。設問数という点でもほとんど変動は見られなかった。
スタンダード2科目型の場合は現代文のみの出題で2題の構成。こちらの大問一は4,000字程度で2021年度よりも本文が1,000字程度減少し、例年並みに戻った。大問二は宮下奈都の本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』からの出題。2018年に映画化された作品で、本文量は2021年度に比べて増加し6,000字程度。ただし、会話文が主体であったため、読みやすく極端に負担増とはなっていない印象であった。設問数は大問1が12問、大問2が12問(枝問を入れると合計13問)。古典の出題がなく、現代文の大問が2題のみであるものの、設問総数が多いため、解答時間に決して余裕があるというわけではないので注意してほしい。
3科目型、2科目型の共通の傾向であるが、大問のうち1題は論理的文章(評論文)、もう1題は文学的文章(随筆文、もしくは小説)からの出題。テーマは言語、社会、臨床哲学、心理など多岐にわたるものの、本文著者は入試頻出のものが多く、高等学校の教科書レベルを逸脱するような難解なものは出題されていない。すべてマーク式で、基本的には4つの選択肢のなかからひとつ選ぶ形式。設問は漢字、語句の意味、語句や接続語の空欄補充、傍線部内容説明、傍線部理由説明、本文の趣旨判定など。一般的な私立大学型の構成と言ってよい。漢字や語句の意味問題などの知識を問うものと、本文および傍線部の精緻な読み取りができたかを試す問題とがバランスよく配置されている。
2023年度入試対策・学習アドバイス
確かな語彙を身につけよう
どの日程でも選択式の漢字問題が出題されている。大学入試用の漢字問題集を1冊でもよいから繰り返し取り組み、わからない言葉はその都度辞書を引いて、意味も覚えよう。知らないものを調べて知るという、こうした学習の基本的な姿勢は、小説問題などで出題される語句の意味問題への対策にもなる。自分の語彙力に自信がない人は、市販の現代文用語集などを積極的に使うのもよい。
過去問で十分な訓練を
読解問題はおおむね標準レベルであり、ここ数年の出題傾向に大きな変化はないので過去問を使って形式に慣れてほしい。市販の問題集ならば、基礎~標準レベルの私立大学向けの問題集を利用するのがよい。問題文を通じてそれまで自分の知らなかった言葉に出合い、そこからさらに語彙の知識を増やすこともできるはずだ。
「現代文の勉強」というと、様々な文章からの出題があるので、何か雲を掴むような印象を持ってしまうかもしれない。しかし入試問題として、受験生の目の前に現れる文章には必ず一定の「論理(筋道)」が存在する。そうであれば「現代文」とは、できるだけ速いスピードで、本文中の論理を精緻に掴む練習であることを結局は意味する。「論理」を精緻に速く追っていくためには読解の根幹を成す「語彙」の力と、文章の道筋を構築している指示語や接続語などの「文法」の理解が大切。日々のたゆまぬ努力で語彙と文法という、2つの国語力を粘り強く高めていってもらいたい。