<入試科目の掲載について>
入試科目情報は、全学部・方式の入試科目が公表された大学より順次掲載しています。

私立

とうきょうとし

東京都市大学

東京都市大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2023年6月時点のものです

理工学部 自然科学科
古生物学研究室

古生物学研究室の1枚!

これは何をやっているところでしょうか?

化石の発掘作業中ですね。ここは、北海道中川町の川沿いの斜面ですが、白亜紀の地層が露出していて、サメの歯や水生鳥類の化石が見つかっているんです。

化石を発掘することから始めて、自分の手で実際に発掘したものを調査分析していくんですね。

ええ。化石には様々な情報が含まれていて、例えば、フンの化石であれば、動物そのものを特定することは難しいのですが、どのくらいのサイズで、何を食べていたりするかはわかるんですよ。化石そのものだけではなく、実は…。

古生物の化石を発掘して調べることで、
生物の進化過程と地球環境との関係を解き明かす

研究テーマ

古生物の化石から、その生態や生きた時代の環境を調べる

古生物学は、発掘した化石などから、太古の生物がどのような姿をしてどのように生きていたのかを解き明かす分野だ。中島保寿先生が率いる古生物学研究室では、主に恐竜が生きていた中生代(約2億5000万年前から約6600万年前)から、その後の時代である新生代に棲息した、海棲脊椎動物の化石を研究テーマとしている。

「大陸の端にある日本列島には、海辺から大陸棚にかけた海底の古い地層が残っている場所があります。そこから化石として見つかる魚竜や首長竜などの海棲爬虫類や、現在も棲息するイルカやクジラの仲間といった海棲哺乳類などの研究を行っています」

白亜紀に滅んだ海棲爬虫類の魚竜には、現存する魚類や海棲哺乳類のイルカやクジラによく似た形態を持つものがある。それぞれの時代に海中で生活しやすいように進化した結果で、同じような形になることを(しゅう) (れん)進化と呼ぶが、その過程をたどることは古生物学の大きなテーマのひとつだ。

「注目しているのは化石の骨密度で、水中生活に適応した海棲脊椎動物では骨の重さが生活環境の指標になります。クジラのように水面と深海を行き来する生物では、浮力調整しやすいように骨は軽くできています。宮城県南三陸町の北上山地で発見された中生代初め頃(三畳紀前期)の原始的な魚竜であるウタツサウルスの化石も、スカスカの軽い骨だったことが判明しています。一方、中生代終盤である白亜紀の魚竜には骨密度の高いものもいて、こちらは浅い海に適応して進化したと推測できます」と、中島先生は話す。

研究室の学びの特徴

フィールドワークで化石を探すことから始まる

鹿児島県長島町獅子島で発掘された首長竜化石の下あごのCTスキャン画像。このなかから首長竜の吐出物と見られる化石が見つかった

研究室では、実際に化石を発掘するフィールドワークを重視している。3年次後期に配属された学生は、大学近くの多摩川中流のフィールドで化石発掘や調査の練習を行うことから学びをスタートさせる。

「化石を実際に掘った経験のある学生はほとんどいません。自然は決して親切なものではなく、その厳しさと、化石発掘する楽しさの両方を体験してもらい、自然のなかから情報を得る力を身につけていきます」

その後はそれぞれの研究テーマに沿って、日本各地のフィールドに出かけ化石発掘を行う。主なフィールドは、北上山地や福島、北海道、鹿児島など古い地層があるエリア。化石を含む岩石を採集できたら、研究室でのラボワークに取りかかる。岩石をクリーニングして化石を取り出すほか、CTスキャンを用いて岩のなかを調査したり、化石の分類を行うための文献や標本と比較したりするなど、その作業は多岐にわたる。

「実は、岩石に埋まっている状態も大切で、様々な情報を含んでいるため、クリーニングすることで失われてしまう情報があります。以前、鹿児島から発掘された首長竜の下あごの化石を調査したときに、別の動物の小さな骨を見つけました。その首長竜が食べた獲物の骨で、重要な情報となります」と、貴重な経験を話してくれた中島先生は、古生物学の意義についても触れてくれた。

「地球の環境と生物の進化は、お互いに密接に関わるテーマです。化石を調べることで、動物の進化の過程を追い、環境との関係を解き明かしていきたいと考えています」

学生の声


社会人として活動しながら、鯨類の化石を研究しています

大学院 総合理工研究科
自然科学専攻
修士2年 N.M.さん

*学年・インタビューは取材時のもの

子どもの頃から生物が好きで、博物館などにもよく足を運んでいました。大学も地学と化石を学べる大学を探し、東京都市大学へ。1年次から地学の研究室にお邪魔し、フィールドワークにも参加させていただいたりと、積極的に取り組んできました。卒業後は、子どもたちに理科の教育普及を行うNPO法人を立ち上げて活動していましたが、古生物学を専門とする中島先生が東京都市大学に赴任されたことを知り、本格的に化石の研究をしたいと考えて、大学院へ進学しました。

現在は、イルカやクジラなどの鯨類の化石を研究しています。500~600万年前に生きていたもので、特に背骨の化石に注目。大きな化石だとクリーニングの作業などが大変ですが、実際に手に取り観察し、進化の過程をたどることにおもしろさを感じています。

ここでの研究を通して学ぶことは、NPOでの活動にも生きていて、博物館や研究者と子どもたちをつなげる活動に大きくプラスになっています。今後は大学院の博士課程に進み、これからも働きながら研究を続けていきたいと考えています。

掘り出した化石を調査するラボワーク

三畳紀前期に生きていた原始的な魚竜(ウタツサウルス)の化石で、宮城県南三陸町で発掘したもの。クリーニング前のもので、岩石中に埋まった脊椎骨などの一部が露出している。

岩石から化石を取り出すクリーニング作業。繊細さと根気が必要な、研究に欠かせない作業だ。

指導教員 中島 保寿 准教授

2013年に東京大学理学系研究科生物科学専攻博士課程修了。博士(理学)。東京大学 大気海洋研究所 日本学術振興会特別研究員を経て、2018年より東京都市大学理工学部自然科学科准教授。専門分野は古生物学(水生脊椎動物)。

このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 東京都市大学 入試センター
Tel 03-5707-0104(代)

PAGE TOP