東洋大学大学からのお知らせ 入試対策情報
物理
2025年度入試の問題分析
東洋大学は2025年度は2月に3回の試験を実施した。どの試験も大問3題の出題で、〔I〕が小問集合、〔Ⅱ〕が力学、〔Ⅲ〕が電磁気という構成になっている。〔I〕の小問集合はいずれの試験でも4問であり、力学・熱・波動・電磁気が1問ずつ出題されている。熱・波動は〔I〕で1問ずつしか出題されないので、力学・電磁気と比べると出題量は大幅に少ない。
小問の数は2025年度2月9日の試験が23問で、そのうち5問が数値計算だった。2月10日の試験は小問が24問で、数値計算は8問だった。2月11日の試験は小問が22問で、数値計算は2問だった。解答形式はすべてマークシート方式になっている。
2025年度2月9日の試験では、力学で力のモーメントのつり合いが出題され、電磁気ではコンデンサー回路が出題された。力のモーメントのつり合いは、水平な床に置かれた立方体の物体に、水平方向または斜め方向に外力を加えて傾かせる問題だった。電磁気のコンデンサー回路は数値計算の問題だったが、内容は基本的だった。
2025年度2月10日の試験では、力学で浮力を受けるばね振り子の問題が出題された。この問題では、重力と弾性力と浮力の合力による位置エネルギーを定義しており、難しい内容になっている。電磁気ではオームの法則の導出が出題された。温度が上昇すると金属イオンの熱振動が激しくなり、自由電子の運動が妨げられるため抵抗値が増大することにも触れており、抵抗値の温度依存性のグラフを選ぶ問題が出題された。
2025年度2月11日の試験では力学の問題がかなり基本的な問題だった。力学的エネルギー保存の法則、仕事と力学的エネルギーに関する出題だった。電磁気では、前半は扇形のコイルが磁場中で回転する電磁誘導の問題が、後半は電流計・電圧計による誤差の問題が出題された。電流計・電圧計の誤差の問題は通常よりやや難しめの内容だった。相対誤差の割合が等しくなるときの抵抗値を求めさせる問題だが、あまり見ることがない出題といってよいだろう。
2026年度入試対策・学習アドバイス
力学は〔Ⅱ〕で出題され、電磁気は〔Ⅲ〕で出題されるが、どちらも〔I〕の小問集合でも出題されるので、熱・波動に比べて出題量は多い。
小問別に見ると2025年度2月9日の試験では、力学が9問、熱が2問、波動が2問、電磁気が10問となっている。また、2025年度2月10日の試験では力学が8問、熱が2問、波動が2問、電磁気が12問となっており、2025年度2月11日の試験では力学が8問、熱が2問、波動が3問、電磁気が9問となっているので、力学と電磁気の出題がほかの分野に比べてとても多い。また、力学と電磁気はほかの単元に比べると難度もやや高めになっている。2025年度2月10日の浮力を受ける単振動の問題や、2025年度2月11日の扇形回路の回転による電磁誘導、電流計と電圧計の誤差の問題はやや難しかっただろう。
年度によっては計算に時間のかかる問題もあるので、日頃から制限時間を気にして素早く解く練習をしておきたい。直前期には過去問を使って十分に時間配分の練習もしておこう。学校で配られる傍用問題集などで基礎~標準まで学習して標準的な問題は自力で解けるようにし、後は過去問を丁寧に解いていくとよいだろう。
