
物理
2023年度入試の問題分析
一般入試(2月4日実施)の問題を分析する。第1問はマーク選択式の小問集合で、力学3問、電磁気2問、熱分野3問、波動2問の出題であった。シンプルな設定であり、難易度はやや易~標準。各小問の問題文は2~5行の簡潔な表現にまとめられている。図は与えられていないので、自分で的確に描きながら計算を進める必要があるが、基礎知識が身についていれば難しくない。解いてみて正解できなかった箇所は、その原因を調べて補強しておこう。知識不足なら教科書・参考書の該当部分を熟読したい。第1問の学習を通して、基礎知識の再確認ができる。問題文が正確に読めていないこともあるので、精読の練習もやっておこう。およそ半分が数値で答える設問であったが、単位をSI(国際単位系)にそろえて計算することにも注意したい。第2問の力学は、前半が台車と小物体が一体の場合であり、後半が運動する台車上で小物体が滑る設定である。頻出テーマで難易度はやや易~標準。運動方程式の正確な立式が鍵である。相対運動の考え方も重要だ。第3問は、電気分野から点電荷による電場・電位と点電荷の運動がテーマの基礎的頻出問題である。難易度は易~標準で高得点が期待されるので確実に正答したい。また、第2、3問は答えだけでなく途中の説明、式、計算も記述しなければならないので、その対策も必要である。普段から記述する習慣を身につけたい。
2024年度入試対策・学習アドバイス
書くことで理解する
特に第1問の小問集合は、短い文章のなかに様々な物理量が登場している。答えを出す手順の誘導はないので、これらの量を組み合わせてどういう法則・公式を使えばいいのか自力で思い浮かばなければならず、それほど易しいわけではない。勉強の際、図や式を丁寧に書きながら論理を組み立てていく習慣を身につけよう。力学であれば、物体の運動の様子を想像しながら、力のベクトル図などを描いていけばよい。電磁気では電場や磁場のベクトルも入ってにぎやかになるから、まずは力学の段階で土台を固めておきたい。物理用語や公式・法則を図とともにカードにまとめておくのもよい。よく使うグラフもまとめておくと有用である。力学では速度と時間、力と位置、力と時間の関係を表すグラフなどがあり、熱分野では気体の圧力と体積の関係を示すP-Vグラフを多用する。自分でいろいろ書いてみると、実はよくわかっていないところを発見することもある。小問集合の練習により、各分野の基本が効率良く復習できるので、数多く解いておきたい。基礎固めと応用力の鍛錬が同時にできて一石二鳥だ。
力学の土台を再確認する
まず物体に作用する力を過不足なく見つけること。物体に働く重力、および物体に触れて働く力を探っていけばよい。次に、等加速度運動、放物運動、円運動、単振動などの典型的な運動を整理しておこう。頻繁に使う力学的エネルギー保存の法則も復習しておこう。エネルギーの保存は力学のみならず、熱分野や電磁気でも大切な法則である。さらに、運動量保存則が使える条件を理解しておきたい。系に対して外力が作用しなければ、系内の物体の運動量の和が一定に保たれる。2物体の衝突、滑らかな床に置かれた台とその上の小物体の相互運動等が代表例である。