東京都市大学大学からのお知らせ 入試対策情報
物理
2024年度入試の問題分析
前期3教科型(2月1、2、3日実施)を分析する。第1、2問は小問集合で、12個の空欄に6個の解答群から記号を選択する。原子分野以外の各分野から偏りなく出題されている。力学は、放物運動、滑車にかけた2物体の運動、空気抵抗を受ける運動、単振動、力のつり合い、一定の力を受ける物体の運動、剛体のつり合い、平面内の2物体の衝突、ばね振動、平面上を運動する物体の平均加速度、衝突と力積をテーマとした出題であった。電磁気からは、直列共振回路、変圧器・交流回路、コンデンサー、抵抗の直流回路、極板間の電場・電位が出題された。波動分野は、ドップラー効果、気柱共鳴、凸レンズによる像が出題され、熱分野は熱量と比熱、気体の状態変化、仕事と熱の問題であった。数値を解答群から選ぶ設問も多い。難易度は易~標準で基本問題が多いが、なかには平面上を曲線運動する物体の加速度の考察のように、思考力を試すユニークな問いも含まれている。交流は学習が不十分になりがちなので、苦戦したかもしれない。問題文はシンプルで読みやすい。それだけに自力で式を組み立てる必要があるため、曖昧な知識では解けない。図が与えられない設問もあるので、わかりやすく描く練習をしたい。第7問は力学の本格的総合問題で、回転板上の物体のつり合い、円を含む軌道上の物体の運動、壁で囲まれた水平面上の物体の衝突を扱っている。答えを解答欄に記入する。難易度は標準。後半ほど難度が上がるように工夫された良問が揃っている。
2025年度入試対策・学習アドバイス
力学の攻略法
比重の大きい力学は高得点がほしい。三本柱と言える運動方程式、力学的エネルギー保存の法則、運動量保存の法則をマスターしよう。運動方程式を立てるときは、着目物体に働く重力と、直接触れて働く力(抗力など)を過不足なく描くこと。力学的エネルギーについては保存しない典型例を知っておけばよい。摩擦力の仕事や非弾性衝突がある場合は、熱の発生により力学的エネルギーが減少する。また、運動量保存を使う典型例は、衝突・分裂であるが、これに加えて相互運動にも慣れておきたい。摩擦のない床上を動く台車上の小物体の相互運動などがある。物体系に外部から力が働かなければ全運動量が一定になることを押さえよう。
電磁気の克服法
力学に次いで重要度の高い電磁気も得意分野としたい。コンデンサーを例にとれば、物理量として、電荷、極板間の電場・電位、静電エネルギー、電流、消費電力等、様々登場する。用語の定義を教科書等でしっかり理解しよう。電場・電位は図を描き計算実習を重ねれば使いこなせるようになる。次に物理量の間の関係を理解すること。例えば、コンデンサーの電流はコンデンサーの電荷の変化率に等しい。電流の定義が分かっていれば難しくない。帯電していないコンデンサーを充電する場合、スイッチを閉じた直後の電荷が0であるが、時間の経過とともに電荷が増えると電流が減少し、十分時間が経過すれば充電が完了して電流は止まる。コンデンサーの学習を通じて、電場や電位などのイメージをつかむことができる。比較的馴染みやすい抵抗回路を勉強してからコンデンサー回路に取り組んでもよい。磁場と関係する回路素子はコイルである。電磁誘導の法則を学んだうえで、コイルの働きを理解したい。