日本大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介
掲載している内容は、2025年9月時点のものです
法学部 経営法学科
セレナ・フランコ研究室
セレナ・フランコ研究室の1枚!

ゼミのテーマを教えてください。
国際私法と国際取引法がテーマで、国境を越えた民間のトラブル解決のため、最終的にどの国の法律を適用すべきかについて理解を深めています。
ゼミはどのように進められるのですか。
発表とディベートが中心です。2人1組で、興味のあるテーマについて基本的な理解を深めるための発表を行い、その後、設例(トラブルの事例)や判例を取り上げ、原告側と被告側などに分かれて主張、議論を行うグループワークを行います。
国境を越えたトラブルをどう解決するかをテーマに発表力と思考力を養う
ゼミのテーマ
地球規模で人とモノが動く現代、どの国の法律を適用するかが重要になる
グローバル化によって人とモノの移動が増えれば、当然、国境を超えた問題やトラブルも増える。例えば、日本の会社がスイスの会社にダークチョコレートを大量に注文したとする。ところが、届いた荷物にはミルクチョコレートが混じっていたため、日本の会社は損害を被ることになってしまった。こうした場合、日本の法律を適用するのか、スイスの法律を適用するのかを決めなければならない。
「今やオンラインで何でも買え、日々、食べている食品のほとんどに外国産のものが入っています。パソコンやタブレットは海外で生産されるものが多く、国際取引は意外に身近な問題です。国際結婚も珍しくないし、そのカップルが離婚する場合は手続きや離婚に伴う相続、親権などをどの国の法律で決めるかが問題になります。それだけに国際私法や、国際条約や国際取引に特化するルールを使って直接問題を解決する国際取引法の知識が重要になってきています」とセレナ・フランコ先生は言う。
「昔から行われている物品売買取引なら国際的にある程度の合意ができていますが、そうではない分野も少なくありません。家族に関わる問題になると国によって価値観や文化が違うため、感情的な部分も絡み、より難しいものがあります。そこで必要になるのが、法律も文化も違うという前提に立ってその問題を見、自分の立場だけでなく、相手を意識することです。そのうえで、どうしたら互いに納得できるかを考えるのが大事だと考えています」
ゼミで身につく力
議論を通して相手の意見を尊重しながら考える力と発表する力を培う
フランコ先生が重視しているのは伝える力と考える力だ。ゼミでは毎週、2人1組のペアをつくり、国際離婚、代理契約など国際私法・国際取引法に関して、それぞれ好きなテーマを選び、どの国の法律が適用されるか、その判断はどのようになされるかなどを発表する。
その後、設例をもとにグループワークを行う。設例はフランコ先生自身がかなり細かく設定しており、例えば「日本人と韓国人がフランスで結婚し、数年後、2人は日本に帰国したが、妻が日本の生活になじめず別居に至り、夫が日本の家庭裁判所に離婚を求める訴訟を提起したが、妻はこれに異議を唱えている」など、詳細かつユニークだ。それについて夫側のグループは日本法を、妻側のグループは韓国法またはフランス法が準拠法であるとの主張をまとめる。
セレナ・フランコ研究室がユニークなのは、グループの意見を発表して終わりではなく、相手グループの意見を受けて反論することだ。設例に絶対的な正解はなく、どちらも利点や改善点、弱点がある。学生には一方的に意見を主張するのではなく、異なる視点があることに気づき、深く考えることが求められる。
フランコ先生は「国際私法・国際取引法はあくまでも考えるための材料」だという。法律の知識を身につける以上に、考える力と自分の考えを言葉にして伝える力を培うことが大事であり、「自分の気づかない視点に気づき、多角的に問題を見て自分の結論を出す経験は社会に出たとき、分野を問わず、必ず役に立つはずだ」と断言する。
学生の声
グループワークが多く、考える力も相手の話を聞く力も鍛えられる
法学部 経営法学科
3年 K.K.さん
*学年・インタビュー内容は取材時のもの
1年次に受けたフランコ先生の国際取引法の授業は、自分で考え、意見を主張することが求められ、すごくやりがいがあり、このゼミを選びました。ゼミは3・4年合同で行われていて、アットホームな雰囲気にあふれ、4年生が3年生の意見を引き出してくれるので、学年に関係なく発言できます。また、同学年だけだと、条文や判例を読んでも、この程度でいいのではないかと線引きし、深掘りせずに終わるところがありますが、より多くの判例を見ている4年生から鋭い意見が出ると、いい刺激になります。
最近は外国人の雇用が増え、日本社会を日本人だけで支えていくのが難しくなっていると感じています。これから自分が外国の人と接する機会も増えてくるはずで、ゼミでの学びを通して相手の宗教や価値観を理解しようとする姿勢が身についたことは将来に生きてくると思います。今後は、まだ明確な決め事のない部分も多い国際物品売買についてさらに理解を深め、ゆくゆくは貿易分野に携わりたいと思っています。
ゼミ合宿の様子

夏合宿(8月)と冬合宿(2月)はゼミの恒例行事。夏合宿では、3年生は判例を1つずつ取り上げて発表し、質疑応答を行い、4年生は卒論の中間発表をする。集中的に勉強した後は、海で遊んだり、花火大会をやったり、オンとオフをしっかり切り替えた充実の時を過ごす。
他ゼミとの弁論大会

学内の他のゼミや学外のゼミとの弁論大会も行っている。あらかじめ対象とする法律を決め、事例を用意し、4つの問題点を出して各グループが主張をまとめて発表し、ディベートを行う。

ヴェネツィア・カフォスカリ大学卒業後、貿易会社勤務を経て来日。慶應義塾大学法学研究科博士後期課程修了。筑波大学、武蔵野学院大学、慶應義塾大学で講師、准教授等を経て2023年4月、日本大学法学部経営法学科准教授就任。
その他のゼミ研究室紹介
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大学・部署名 | 日本大学 入学課 |
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Tel | 03-5275-8001 |
