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同志社大学

同志社大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2025年7月時点のものです

心理学部
毛利ゼミ(犯罪心理学)

毛利ゼミの1枚!

ゼミの様子ですね。何をしているのですか?

卒業論文のテーマ、例えば「SNSと加害者バッシングとの関係」をどう分析するかなどについてゼミ生が意見交換しています。

何が正しいかを考えるのは難しいのでしょうね。

「正解」はありません。自分のなかから出てきた意見をしっかり表明し、人の意見とすり合わせていくことが大切なんですよ。

なぜ罪を犯してしまうのか。背景を理解し、回復を支援する

ゼミの特徴

刑務所の出所者を招き、少年院など施設の見学も

司法心理学には、プロファイリングなど捜査に関わる「捜査心理学」、裁判での心理的側面を分析する「裁判心理学」、そして、罪を犯した人の更生や社会復帰を支援する「矯正心理学」などがある。

毛利真弓先生は、少年鑑別所での実務経験も持つ矯正心理学の研究者だ。先生のゼミは、非行や犯罪に関する本を読み、考えたことをお互いに話し合うことから始まる。加害者への偏見もあるなか、どうして罪を犯してしまうのか、まずは背景を知ることが必要だからだ。刑務所の出所者を招いて話を聴くこともある。最初は緊張している学生も「案外普通の人だな」「こんな人でも状況が重なって加害者になってしまうんだ」など、非行・犯罪行動への理解を深めていく。加害をした当事者をゲストスピーカーとして授業に招いて話を聞いたり、少年院や刑務所、非行経験のある子どもが入所する児童自立支援施設などに見学に行ったりすることもある。「犯罪に対するイメージが変わると共に、更生への道のりの複雑さや大変さについても実感することができる機会です」と毛利先生は話す。

ゼミのPOINT

チーム単位での卒業論文執筆が大きな学びにつながる

同志社大学心理学部では、基本的に3名程度のチームで卒業論文を書くことになっている。「大学での学びは、正解のない問いに対して人と意見を交換し合うことが大切。卒論も、自分のなかから湧き出てくる関心や、どんなテーマについてどのように進めていきたいかという自分の気持ちを言葉にし、それをメンバーとぶつけ合いながら、一つの論文にまとめていくことが、非常に大きな学びになると思います」

卒論のテーマに多く選ばれるのは、更生を支援するにあたって見過ごすことのできない、「加害者に対する世間の非難」に関するもの。加害者やその家族に対するバッシングにマスコミやSNSがどのように影響するかなどについての研究だ。例えば、被験者が様々な報道を見た時に、加害者への批判的な気持ちがどう変化するか、どのような要素がバッシングを強めるのか。単なる印象、感想ではなく、統計学や分析の手法を駆使した科学的な論証が卒業論文にまとめられていく。

卒業後の進路

法務省や家庭裁判所などで心理の専門職につく道も

先生も交えての飲み会は、お互いのことをさらに知るための良い機会となっている 京都刑務所見学時の写真

卒業後、大学での学びをそのまま生かせる仕事として、法務省の矯正心理専門職、家庭裁判所の調査官がある。2年間の実務経験により公認心理師の受験資格も得られる職種だ。一方で、どんな進路を選んでも学びは生かせると先生は話す。「昔は軽く考えられていたセクハラも、被害の深刻さが広く知られるにつれ大きな問題となり社会の認識が変わりました。人が罪を犯してしまう状況があることを理解している人が、社会の一員として何ができるかを考え、少しずつでも知識や経験を共有したり、厳しい状況にある人への接し方に配慮したりできれば、人の痛みや行動の背景への理解が社会全体に広がっていくのではないかと思います」

この分野を学ぶ魅力について先生に聞いた。「人間は罪を犯すこともあれば、ちゃんと更生もできる。環境とタイミング次第で良くも悪くもなるんです。犯罪の裏で何が起きているのか、自分では経験し得ない世界を知ることによって、自分を知り、人を知ることができますよ」

学生の声


警察の心理職として、罪を犯した人への偏見のない社会をつくりたい

心理学部
4年 M.T.さん

*学年・インタビュー内容は取材時のもの

人の気持ちに関心があって心理学部に進学し、「犯罪」という未知の世界を心理学の観点から学びたいと考えてこのゼミを選択しました。

卒業論文は3人のチームで取り組んでいます。SNSのコメント欄など他人の意見が、加害者を許せる、許せないという評価にどう影響するかについて研究しています。今はアンケート調査の準備中。理論に基づいた設問によって量的調査を行い、統計学や分析の手法を生かして論文にまとめる予定です。加害者の支援を通して犯罪のない社会づくりにつながるような論文にしたいと思います。グループで卒論に知り組むことによって、絶対に自分が正しいと思っていたことでも、別の見方からの意見を取り入れて柔軟に考えられるようになったと感じます。

卒業後は大学院に進学し、修了後は公認心理師の資格を取得するとともに、都道府県警察の心理職として犯罪者の更生を支援する仕事に携わりたいと考えています。罪を犯してしまった人への偏見のない社会をつくるために尽力したいです。

指導教員 毛利 真弓 教授

大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間科学)。愛知教育大学大学院教育学研究科修了後、名古屋少年鑑別所法務技官兼法務教官、(株)大林組官民協働刑務所島根あさひ社会復帰促進センター社会復帰支援員、広島国際大学心理臨床センター助教、同志社大学心理学部准教授を経て、2025年より現職。休日の楽しみはクラフトビール巡りと温泉旅行。

このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 同志社大学 入学センター入学課
Tel 075-251-3210
E-mail ji-nyugk@mail.doshisha.ac.jp

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