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同志社大学

同志社大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2024年10月時点のものです

生命医科学部 医情報学科
脳神経行動工学研究室

脳神経行動工学研究室の1枚!

この図やグラフ、写真は何ですか?

生き物が音を認識する仕組みを調べたものです。研究では赤外光レーザーによる神経への刺激に注目しています。

研究内容はどのように社会へ活用されますか?

イヤホンのように簡単に装着できる人工内耳の開発をめざしています。手術の必要がなく、多くの方に利用いただける技術です。

「聞こえる」を科学して、
未来を明るく照らす研究に挑戦!

学部紹介

医療とヒトに貢献する
プロフェッショナルを育成

医療や福祉、健康など「生命」に対する関心が高まる一方、その実現に対する社会的負担の軽減など多様な課題の解決が求められている。こうしたなか、これまで同志社大学が培ってきた工学研究の知識とノウハウに、医学や基礎生物学を融合することで、医療とヒトに貢献するプロフェッショナルを育成するべく設置されたのが生命医科学部だ。

機械工学と医学の融合分野で、先端医工学技術を学ぶ「医工学科」、情報・電子工学と医学が融合した分野を学ぶ「医情報学科」、分子生物学や細胞生物学など幅広い医学領域を探る「医生命システム学科」の3学科を設置。工学と医学を軸に広がる多彩な研究室のなかから、ここでは脳神経行動工学研究室を紹介する。

研究テーマ

手術不要の人工内耳で
36万人の患者へ音を届ける

ヒトを含めた様々な生き物を対象に、音の認知や利用の方法について研究している。生き物の知覚の仕組みを知ることで、ヒトの知覚を効率よく補助・再建することができる

脳神経行動工学研究室は、生物工学を専門とする飛龍志津子教授と神経行動学を専門にする小林耕太教授の二人が担当。両者の得意分野を融合させ、新しい学問の開拓へ挑んでいる。「生き物から学ぶことで医学や工学へ応用できるヒントを得ようというのが、私たちの研究室の取り組みです」と話す小林先生は、音を認知する仕組みを研究し、人工内耳の開発をめざしている。

音は空気の振動として、鼓膜、耳小骨、有毛細胞という「中耳」を伝わったうえで蝸牛細胞へとたどり着く。そこで振動は電気信号に変換され、脳へ送られる。その中耳の機能が遮断されたときに、聴覚に障害が起こる。聴覚の再建方法としては、体内に埋め込んだ電極を蝸牛細胞に接触させて電気刺激を送る人工内耳がある。しかし手術は体への負担が大きく、適用できる人が限られるという課題がある。

小林先生が注目するのは赤外光レーザーだ。「赤外光レーザーには神経を刺激する働きがあり、電極と同じ役割を果たしてくれることがわかってきました。しかも赤外光レーザーは神経に接触させず、鼓膜越しに照射するだけで神経を刺激してくれます」。この性質を活用すれば、電極を埋め込む手術は不要になる。イヤホンのように装着するだけで利用できる人工内耳の実現が期待されるのだ。

小林先生はこれまでにスナネズミを対象とした研究で、赤外光レーザーのパラメーターを調整することで音知覚を制御できる可能性を示してきた。ヒトを対象とした心理実験では、赤外光レーザー人工内耳で部分的に音声知覚を再現できることもわかった。日本国内には、約36万人の高度難聴者がいると言われている。多くの人の期待を胸に、小林先生は研究を一歩ずつ前へ進めている。

研究室の特徴

生き物に学び、
医学・工学への応用をめざす

脳神経行動工学研究室は総勢50人を超える、同志社大学で最も大きな研究室の一つ。在籍メンバーが学内外で表彰・受賞されることも多い

研究室では、赤ちゃんや老人、ネズミ、サル、コウモリ、さらにそのほかの様々な動物も対象にして、生き物がどのようにを発し、聞き、利用しているかについて実験を通して学んでいる。これまでに取り組んだ研究テーマには「野外におけるコウモリの音響ナビゲーション戦略を解明しよう!」「自分の録音音声に違和感を抱くのはなぜ?」など、ユニークなものが数多く並ぶ。

学生は、グループに分かれてデータ収集や分析などを行っている。加えて、1人ひとりが個別のテーマを持ち、メンター役である大学院生のサポートを受けながら研究実験に取り組む。その成果は毎年8月に行われる中間発表会で発表している。

研究室では、科学的・論理的思考力とその材料となる実験データや過去の知見を集める意欲・情熱を、研究における大事な能力と位置づけている。研究を通してそれらの力を養った卒業生は電気・情報系企業のエンジニアや、大学院を経て大学教員や研究員として活躍している。

研究室紹介

ティッシュエンジニアリング研究室
組織工学研究や創薬研究に重点をおき、高齢化社会における人間のQOL(quality of life)と深く関わる視覚の再生医療・治療薬の開発に関する研究を行っている。開発した新しい角膜再生医療および治療薬を患者さんに届けることをめざしている。
バイオメカニクス研究室
ヒトのため、安心・安全な社会を築くことを目的に、生体・医療材料だけでなく、機械・構造物に用いられる各種材料を対象として、創製・成形方法の開発と信頼性評価に関する研究を実施している。 また、生物模倣を利用した月・惑星探査小型ローバーの研究開発、機械の一層の低振動化のために必要な先進的な振動解析などに関する研究にも取り組んでいる。
メディカルロボティクス研究室
生体の運動機能・機構とその力学特性の解析から、生体親和性に優れた制御技術の研究を行い、ヒトの動作や運動補助を行うロボットシステムなどを開発。ヒトの機能に基づき、ヒトが主体となる Human-Centered Robot Systems をベースとして、 1.医用ロボットシステム、2.人間協調動作型パワーアシストロボット、3.ネットワーク型運動支援ロボット、4.食事補助ロボットなどの研究開発を進める。
生命物理科学研究室
非平衡開放系を対象とする学問を研究。“生命とは何か?”といった本源的な問題に迫るなかで、医科学・生命科学の基本的課題に取り組んでいる。国内だけでなく、海外の医学・生命科学関係の機関とも活発な共同研究を進めている。
非線形応用数理研究室
自然界における色々な複雑な問題・現象に対し、その数理モデル(特に離散モデル)の考案・解析・応用を研究。特に連続モデルと異なる離散モデルによる非線形現象の特徴や現象の厳密な再現可能性を追求している。数理科学を土台とし、研究では計算機処理に便利な独自の数値解析・数式処理的手法を多用する。
指導教員 小林 耕太 教授

千葉大学大学院自然科学研究科修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校生理科学部博士研究員を経て2008年より同志社大学生命医科学部助教、2019年より現職。研究テーマは神経行動学、特に聴覚、発声、ならびに聴覚‐発声統合の神経メカニズム。

このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 同志社大学 入学センター入学課
Tel 075-251-3210
E-mail ji-nyugk@mail.doshisha.ac.jp

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