<入試科目の掲載について>
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同志社大学

同志社大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2023年7月時点のものです

文学部 哲学科
中村ゼミ(現象学)

中村ゼミの1枚!

これはゼミの様子ですか?

これから使用するテクストを2冊のうちのどちらにするか、ゼミ生全員で決めているところです。

多数決で決めるのではないのですか?

多数決で決めることに意味はないので、なぜそのテクストにするべきか、どういう点が良いのか、何を学べるかなどを議論し合って決めます。

哲学的な世界の見方を身につけ、学生同士が共に学び合う

学びのテーマ

ドイツ語圏で生まれた哲学的潮流を
ゼミでの学びの基礎に

ゼミにおけるテクストの候補のひとつである
『イデーンⅡ』は、「現象学」を提唱して
20世紀哲学の新たな流れを作った哲学者、
エトムント・フッサールの代表作

研究室として目標にしているのは、哲学的な世界の見方や論証の仕方を身につけること。「自分の主張や発想を言いっぱなしにするのではなく、論証する。理性的に考えていくと、確かにそうとしか思えないという形にまで根拠づけていく学びを行っています」と中村拓也先生は話す。

学びの基本になっているのはドイツ哲学。とりわけ、20世紀初めにドイツ語圏で生まれた現象学を基礎に据えている。これはフッサールによって提唱された哲学だ。 例えば、以下のような例が挙げられる。

「美味しそうなリンゴであると思って近づいて手に取り、よくできた木彫りのリンゴの置物であることに気づくことがある。そうした気づきが生じる前には、リンゴの置物は『リンゴ』として私に現れていた。しかし、経験の連続のなかで、『リンゴの置物』という新しい意味が私に露わになる」

このように認識対象の現れや意味は、主観との相関関係に応じて変化する。現象学は、この意識と対象の相関関係を照らし出していこうとする試みだ。

ゼミでの学び

人生経験を重ねるほどに
興味深くなる哲学の学び

学問の方向のひとつの極である自然科学的アプローチでは、客観的なデータなどを用いて物事を解明していく。「20世紀以降の哲学では、自然科学主義が主導的な立場となりました。けれども私たちが扱う精神を量的なアプローチで語り尽くすことはできません」

例えば、緑豊かな森のなかに入った時、人は自然を感じ、心地良い解放感と共にリラックスする。その状況を科学的に解明するなら「フェトンチッドなどの化学物質が身体に取り込まれた結果…という説明になるでしょうか。けれども、私たちが知りたいのはそういうことではなくて、森に入った時に心が安らぐという主観的体験。私たちは、その体験に言葉を与えたり、理解したりすることに魅力を感じています」と先生は話す。

即効性や正解を求める学びではなく、何年、何十年経ってから心に響く、気づきをもたらしてくれるのが哲学の学び。「人生経験を重ねることによって難解な数学の問題が解けるようになりませんが、哲学は経験を重ねるほどに深みが出てくる学びです」

ゼミでのルール

発表を聞きっぱなしにせず
意見や考えを共有し、学び合う

ゼミでは、最先端を進む国内外の研究者を招いて話を聞く貴重な機会も少なくない。それが学びへの意欲を加速させるスイッチになることを先生は願っている。「もちろん、普段の課題であるレポートや発表をやりっぱなしにしないのも、当ゼミの流儀です」

提出されたレポートに対しては、先生がコメントをフィードバック。ときには面談も行う。特にゼミ内における発表ではプロトコルと呼ばれる議事録(発表の概要、どのような指摘がなされ、どう修正したか)を、発表者以外の学生が作成する。

これはドイツのゼミナールで始まった授業方法で、授業内容をやりっぱなしにしないという考え方の実践だ。ゼミ発表の前にはプロトコル作成の担当者を決めないため、「自分が担当者になるかもしれない」という緊張感をもって全員が発表を聞くことができる。「ゼミ全体で意見や考え方を共有する、互いに確認していくことにこそ、共に学ぶ意味があると思います」。聞く力、考察する力も必然的に養える。

学生の声


大好きな京都で、この先も現代人の心に問いかけ続けたい

文学部 哲学科
4年 Y.M.さん

*学年・インタビュー内容は取材時のもの

哲学に興味を持ったのは15歳の時。父の蔵書のなかにあったニーチェを読んで感動したことを覚えています。私が生まれた河南省の洛陽や開封市と同じく古都である京都に憧れていたため、高校卒業後に来日。約2年間にわたって日本語を学びながら、同志社大学への進学を決めました。

古代ギリシャの哲学者、アリストテレスは「驚きから哲学は始まった」と言いましたが、中村先生の授業にもいつも驚きがあり、毎日刺激を受けています。

昔は周りに言われて“させられるもの”だった勉強も、今は“自主的にするもの”に変わりました。

今の興味の対象は、ゼミのテクストにもなっているフッサールの著書『イデーンⅡ』。これは現代思想の原点と呼ばれ、20世紀が生んだ最も重要な哲学書の一つです。私たちが漠然と信じている認識を遮断し、あらゆるものの存在を疑うという考え方がおもしろく、学部卒業後は大学院に進学して、哲学の学びを深めたいと思っています。

指導教員 中村 拓也 教授

兵庫県生まれ。同志社大学大学院文学研究科哲学および哲学史専攻博士課程(後期課程)満期退学。博士(哲学)。2022年から現職。食べることが大好きで、最近印象に残ったのは全身がトロのように脂ののった身質のヤイトカツオ。食の面でも驚きや新しい発見を常に求めている。

このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 同志社大学 入学センター入学課
Tel 075-251-3210
E-mail ji-nyugk@mail.doshisha.ac.jp

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