<入試科目の掲載について>
入試科目情報は、全学部・方式の入試科目が公表された大学より順次掲載しています。

私立

とうきょうこうか

東京工科大学

東京工科大学大学からのお知らせ ゼミ研究室紹介

掲載している内容は、2022年9月時点のものです

工学部 機械工学科
ヒューマンメカトロニクス研究室

ヒューマンメカトロニクス研究室の1枚!

この電動車いすは普通のものとは違いますね?

前後左右に自由に移動することが可能で、段差を乗り越える機構も備えた“全方向移動車いす”です。

従来の車いすの常識を超えた、繊細で利便性の高い動きができそうですね。

現在はさらに進化させ、階段の昇降ができる機能や、傾斜路での運動性能の向上など、さらなる機能を備えることを目指して研究を進めています。

人間とメカトロニクスの融合をテーマに
生活や作業を支援するメカトロニクスシステムを追究する

研究テーマ

段差も乗り越える全方向移動車いす

人間と機械工学や電子工学を融合した研究に取り組んでいるのが、ヒューマンメカトロニクス研究室だ。今年から研究室を率いている上野祐樹先生は、ご自身もこの分野の研究を学生時代より続けている。なかでも長らく開発を手掛けているのが“全方向移動車いす”だ。座る人が同じ方向を向いたまま、前後左右へ自在に移動することができる機構を備えた、電動の車いすである。

「実は私自身が学生時代にロボコンに参加していて、全方向移動機構という仕組みがあることを知りました。そこで大学院生時代に全方向移動機構の開発を研究テーマにしたのがきっかけです」と、上野先生は研究の始まりを振り返る。

これまで、何台かの試作モデルを作り上げ研究開発を重ねてきたが、現在のモデルは全方位への自在な動きに加え、無理なく段差を乗り越える柔軟な足回りの機構を備えている。そしてすでに、次世代モデルの開発に取り組んでいるという。

「展示会などで車いすユーザーの方々から必ず出る声が、階段の昇り降りはできないのかということでした。そこで階段昇降や傾斜地での運動性をテーマにした、新しい試作モデルの開発に取り組んでいます。また海外で行われているCybathlonという障がい者支援の競技会への挑戦も視野に入れています。いずれは、全方向移動車いすの実用化に向けた開発にも取り組む予定です」と、上野先生は次なる目標を見据えている。

研究の手法

人の特性を考慮したパワーアシストシステム

パワーアシスト操作型全方向移動ロボットについての研究会の様子

研究室では人間と機械に関わる幅広いテーマを扱っている。その一つがロボットの操作支援のための、パワーアシストシステムの開発だ。現在、産業の現場では、人間とロボットが協調して仕事や作業を行う、様々なロボット機器が用いられている。その操作には、人間の力を感知してモータの力で補助をするパワーアシストシステムが使われることがあるが、よりスムーズな操作を可能にするための研究を独自のアプローチで手掛けている。

例えば、人間が筋肉を収縮する際に発生する微弱な表面筋電位を測定し、人間の運動を解析してパワーアシストシステムの操作性改善につなげる研究は、まさにヒト視点からのメカトロニクスへのアプローチだろう。また、人間は動作を行う際に予測到達時間(タウ)を知覚して身体を制御していると言われている。このタウ理論を取り入れたパワーアシストシステムに注目し、移動ロボットの衝突回避機能や制御方法を研究している。

「研究室では、自分でまず考えてから一歩を踏み出すということを重視しています。基本的には、学生が興味を持ったテーマに取り組んでもらうようにしています。タウ理論にしても、“パワーアシストロボットの衝突回避”というテーマに取り組んだ学生のテーマから発展して、現在の研究につながっています」と、上野先生は学びの方針を説明してくれた。

学びの工夫

学生ロボコンに挑戦する“プロジェクトR”

東京工科大学では、NHK学生ロボコンに挑戦する “プロジェクトR”が稼働している。2016年から最新の2022年まで6大会連続で本戦出場を果たし、2021―2022年は連続でベスト4の好成績を残した。かつてご自身も学生ロボコンに出場していた上野先生は、2015年から“プロジェクトR”で学生の指導にあたっている。

「学生ロボコンは学生主体の任意活動で、運営や活動の方向性は学生に任せています。プロジェクトでロボットを開発・作成して大会に挑む過程で、学年の垣根を越えて協力し合いながら活動します。チームの仲間とどのように関わり目標を達成するかを実践で学べる場ですね」という上野先生の指導は、テーマが決まってプロジェクトが始動する最初の段階で、今後の方向性を視覚的にまとめる手法を指導する。要望・要求・要件・分類・仕様と順に落とし込んでいくスキーム表を作成し、チーム全員で共有して意識統一を行う過程が、近年の好成績につながっていると手ごたえを感じているという。

チームで行うロボコンへの挑戦は、学生のコミュニケーション能力やリーダーシップ能力を養う役目を果たしている。また昨年から1on1ミーティングの手法を取り入れ、チーム内でのコミュニケーションの強化につなげていると、上野先生は補足する。

ロボコン参加者の中には、ヒューマンメカトロニクス研究室に進み、ロボット研究をさらに深化する学生も少なくない。研究室とプロジェクトRは、上野先生が実施する学びの両輪として、さらなる成果に向け活動を続けている。

学生ロボコン出場の様子

NHK主催で毎年開催されている人気プログラムが、学生ロボコンだ。東京工科大学は、2009年に本戦初出場。“プロジェクトR”発足後は、2016年から6大会連続本戦出場を果たし(2020年は大会中止)、この2年は連続ベスト4とデザイン賞(2021年)技術賞(2022年)に輝く好成績を収めている。次にめざすは、優勝と国際大会であるABUロボコンの出場権獲得だ。

学生の声


研究室とロボコンで培った経験は今後に生かせる財産です

大学院 工学研究科
サステイナブル工学専攻
修士2年 Y.H.さん

*学年・インタビュー内容は取材時のもの

NHKロボコンに出場しているのを見て東京工科大学に関心を持ち、ものづくりをしたいという思いから工学部に進学しました。入学後すぐ“プロジェクトR”に参加し、3・4年次はプロジェクト全体のリーダーを務めました。ロボコンの活動では、ものづくりのための専門的な技術や知識が身につき、チーム内でのコミュニケーション能力や問題解決のための論理的思考なども鍛えられました。リーダーとして、目的意識と目標設定をハッキリさせることを心がけて活動していました。

現在、取り組んでいる研究テーマは、「パワーアシスト搬送ロボットの操作支援法の開発」です。予測到達時間(タウ理論)を利用して、障害物回避や壁に衝突せずにゆっくり停まるような支援技術の開発を行っています。実験や研究、プロジェクトを通して実際にやりながら学ぶことで、楽しみつつ学びを深めることができます。研究室での取り組みや、ロボコンで身につけたことは、今後の仕事でも生かせる大切な経験です。

指導教員 上野 祐樹 講師

豊橋技術科学大学大学院工学研究科 博士課程修了、博士(工学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、ドイツ・ミュンヘン工科大学 研究指導委託、豊橋技術科学大学機械工学系 研究員。2015年より、東京工科大学工学部 機械工学科 助教。2022年より現職。

このページに関するお問い合わせ

大学・部署名 東京工科大学 広報課
Tel 0120-444-903
E-mail pr@stf.teu.ac.jp

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